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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/25号
2007/9/13更新
テレビ局の都合でフジサンケイが
54ホールに短縮。プロの反応は?

 石川遼がツアー2戦目で15位と大健闘したフジサンケイクラシック(富士桜CC・8月30~9月2日)と、丸山茂樹が3年ぶりに日本ツアーに出場したサントリーオープン(総武CC総武C・9月6~9日)が、相次いで54ホールに短縮。いくら“天候”という事情があったにせよ、なぜ54ホールに短縮されたのか?


遼くんは72Hやりたかったというが……

 フジサンケイの2日目、8月31日金曜日、石川遼は予選ラウンドを終えて、日没サスペンデッドでホールアウトできなかった3組をのぞき暫定6位で堂々の予選通過。

 翌日の土曜日には、石川遼の優勝争いを期待した2700人以上のギャラリーが富士桜CCに詰め掛けた。

 しかし、石川遼が、2番のティグランドに上った時、濃い霧がコースに立ち込めたために、11時15分にプレーが中断。その後、霧が晴れないとの判断で、13時に中止が決定してしまった。

 加えて日没まで、まだ5時間以上ある段階で、72ホール行うのではなく、54ホールに短縮されることも同時に決まったのだ。

「この決定はちょっと早すぎるのでは!?」。選手もメディアも、ギャラリーも、大会スポンサーの一部からも疑問の声が上がる。

「優勝して少しでもランキングを上げるチャンスなのに……」と近藤智弘は2日目トップに立ったものの、競技短縮の場合は賞金ランク加算分は25パーセントカットされてしまうために、悔しがった。

 大会の主役の遼くんも、「できれば72ホールで試合の経験を積みたい」と残念がった。

 不満がつのる中、JGTO(日本ゴルフツアー機構)の遠藤誠ツアーシニアディレクターが競技短縮理由を説明するために記者会見場へやってきた。

 遠藤氏の答えはこうだった。

「テレビ局の事情で、放映時間を逆算すると13時に決定しないと間に合わないからです」

 最終日の日曜日に夜明けからスタートしても、36ホール行って優勝決定が決まるのは早くても17時過ぎ。

 放送時間が13時25分から14時55分で、とうてい競技は終わらない。

 15時からは「スーパー競馬」があり、時間枠も動かせない。

 中継時間内に競技を終了させたいというテレビ番組の“都合”で競技短縮が決まったのだ。

 今大会は主催者がテレビ局。

 深堀圭一郎選手会長も「スポンサーあってのツアーなので」と残念がりながら、本音では72ホール競技成立を望んでいたのだが。

 米ツアー参戦中の丸山大輔は、「アメリカはゴルフチャンネルやスポーツチャンネルが1日中ゴルフ中継しているから、テレビの時間は気にしなくていいけど、日本は仕方がないんじゃない」とテレビ局の都合にも理解を示したものの、谷口徹は「世界のツアーと同様72ホールすべき。せっかく遼くんを見に来たギャラリーのことを考えると決定は早すぎ」と不満顔だった。

 訪れたギャラリーは、夏休み最後の週末で子ども連れが多く、子ども限定で行われた石川遼のサイン会を楽しんではいたが、「濃霧のため中止」と決定理由とチケットの払い戻しを説明されただけで、テレビ局の事情だとは知らされることはなかった。

 一方、翌週のサントリーは初日の晩から2日目の早朝にかけて、関東地方直撃の台風9号の影響で、バンカーは水が溜まり、コースは小枝で覆われた。

 競技をするにもコースメンテナンスに時間がかかり、残り54ホールを2日間で終了することは難しく、わずかながらやってきたギャラリーも納得。

 そのサントリーオープンは今年で35回の歴史に幕を閉じた。

 遠藤ディレクターが「ツアーは商業ベース」と“名言”したように、スポンサーの足元ばかり見てゴルフファンと選手を軽視していては、せっかく石川遼というスターが誕生しても、男子ツアーの試合数減少の歯止めどころか、助長することにもなりかねないと思うが、どうだろう。

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