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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 4/24号
2007/4/12更新
総武都市開発が破綻。トーナメントも開催する
名門「総武」はどうなる?

 男子プロゴルフトーナメント・サントリーオープンの開催コース(総武CC)を抱える、総武都市開発(株)が、4月3日、民事再生手続きの開始を申し立てた。あらかじめ申立前にスポンサーを内定してのプレパッケージ型。名門ゴルフ場経営会社に何があったのか。


総武CC総武コースはPGグループのフラッグシップになる!?

総武都市開発の看板コース・総武CC総武コースは、旧平和相互銀行の故・小宮山英蔵オーナーが昭和39年5月に開場させた老舗コース。

 英蔵氏は昭和35年の武蔵野GCを皮切りに、昭和36年に中山CC、昭和38年に川越CCをオープンさせており、総武コースは4番目のコース。昭和43年に印旛コースをオープンさせて以降は、太平洋クラブのコース建設に集中するも、オイルショックを機に太平洋クラブは手放すことに。

 英蔵氏は昭和54年に逝去、子息の義孝氏が後を継ぎ、昭和60年から62年にかけて、パインツリーGC、スプリングフィルズGC、アルパインGC、総武CC北コースを開場、グアムにも1コース取得。平成7年オープンの軽井沢森泉GCを加えて、国内10コース、海外1コース体制になる。

 が、パインツリーは平成14年に売却、アルパインも同年再生手続きの申立を行い、シャトレーゼ傘下へ。

 再生手続き申立の直接原因は、総武都市開発で今年3月に2度目の預託金償還期限を迎えたことにある。3月に17億円、4月に入って既に7億円の返還請求を受けていた上、スプリングフィルズも来年3月には同じく2回目の償還期限を迎える。

 また、負債の内訳は、総武都市開発が総額386億円のうち300億円が預託金、軽井沢森泉が総額154億円で、預託金は約35億円で残りは総武都市開発からの借り入れ。金融機関からの借金は決して少額とは言えず、各コースには担保も設定されている。

「10年前の1回目の延長時以来、従業員には一度もボーナスを支払えていない上、設備投資も止まっている。会員の平均年齢が60歳であることを考えれば、あまり時間はかけられない。早期に設備投資を再開し、かつ公平な配分と早期の事業再生を実現するためにプレパッケージのスポンサー型を選んだ」(申立代理人の船橋茂紀弁護士)という。

 そのスポンサーの座は、傘下5コース中、軽井沢森泉はリゾートトラスト、総武CCの3コースとスプリングフィルズはPGGIHが獲得した。

「金融機関借入が多く、設備投資も行いたい。また、総武コースでは平成10年から毎年9月にサントリーオープンを開催している。習志野CCからこちらに移ったのは、日東興業が和議を申立てたため。今回は9月までには手続にメドを付け、継続して開催してもらえるようにも頑張りたいので、スポンサーには資金力のあるところについて欲しかった。
が、会員との軋轢も可能な限り回避したかったので、複数の候補の中で、最も日本的経営に理解を示したPGGIHを選んだ。ただしPGGIHは基本的にリゾートはやらないので、軽井沢森泉はリゾートトラストにお願いした」(船橋弁護士)

 ちなみに、武蔵野、川越、一部株主会員制を導入している中山は、小宮山一族の経営とは言っても、総武都市開発とは言わば兄弟会社のような関係。

 共通会員権を販売したことがあるため、グループコースとしてアピールした時期もあったが、「これまで総武都市開発が資金的な支援を受けてきた関係にもあり、今回の申立前には一部債権放棄にも応じてもらっている」(船橋弁護士)と別の動きという。

 会員とコースの関係が比較的良好で、理事会決議での償還期限延長がうまく機能したものの、間もなく2度めの償還期限を迎えるというコースは少なくない。今後、そんなコースの処理が本格化するのは間違いないだろう。

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