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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 4/17号
2007/4/5更新
太平洋クラブと東急が事業提携に
大手2社、ホントに得するのはどっち?

 3月23日、東急不動産と太平洋クラブが保有コースの相互利用などを含む、『戦略的事業提携』を締結したことを公表した。業界初となる大手同士の提携戦略を追った。

 今回の提携の骨子は、≪1≫お互いの系列コースや施設の優待利用、≪2≫機材、資材、営業消耗品などの共同購入、≪3≫人材交流、運営ノウハウの共有、≪4≫提携ゴルフ場の新規取得や運営受託コース拡大に於ける協力、といったところだ。

太平洋クラブは、18の系列コースに併設ホテル5施設、ゴルフアカデミー4施設を有する。東急不動産も、運営受託コース2コースを含めて系列コースは21、リゾートホテルが10施設、スキー場が7カ所あるなど、両社の規模は比較的近い。

 東急電鉄グループとしては、電鉄本体系コースとして、静岡のファイブハンドレッドC、千葉の東急セブンハンドレッドCなどがあるが、今回の提携はあくまで東急不動産との提携なので、電鉄本体系のコースは対象外だ。

 提携の目玉となる、相互優待利用については、あくまで平日限定でプレー枠に余裕がある場合のみ。

 対象となるコースや料金設定などの詳細は6月をメドに正式決定されるが、現段階では太平洋クラブ系列では御殿場、江南、佐野ヒルクレストの3コースを除く15コース、東急不動産系列では鶴舞と季美の森、それに運営受託コース2コース(ニセコ東急、サミット)を除く17コースが対象となる予定だ。

 会員だけで予約枠がいっぱいになりそうな人気コースは除外し、対象コースでも、軽井沢、白河の夏季シーズン、ゴールデンウィーク、お盆や年末年始の繁忙期は、平日と言えども除外される。

 双方ともに既存会員のプレー環境には最大限の配慮をした上で、平日の稼働率を引き上げる効果を狙っているわけだ。

このような、ゴルフ場大手同士の提携は過去に例がない。経済界全体として見れば、鉄鋼や銀行などは既に幾度となく対等合併が繰り返され、かなり再編が進んでいるが、ゴルフ場経営の世界では倒産会社を飲み込む形か、コースを他社に売却してしまう形でしか再編は進んでいなかった。

今回の提携に至った背景として、両社が挙げているのは「ゴルフ人口の減少、高齢化傾向を背景にした経営環境の悪化」だ。

 2大外資が規模の利益を追求、低価格大量集客型で会員権価格も低価格というゴルフ場が増えていく中で、大量集客を回避し、会員重視の良質なサービスで会員価値の維持・向上を図ろうとすれば、大量集客とは別の方法での収益の安定と、コストの圧縮は不可欠になる。

 利用出来るコースが増えることで、双方の施設利用者数が増えれば、収益基盤はより安定する。また、機材や資材、営業消耗品などはスケールメリットが最も発揮されやすい。

 両グループのコースは、比較的近い場所に分布していることもあり、共同購入によるコストダウン効果は、地味ながら採算面に与える影響は少なくない。

 今回、東急不動産と太平洋クラブという組み合わせが誕生したのは、「ゴルフ場運営に対する理念、考え方が比較的似ていて、なおかつブランド力や規模も同程度」(太平洋クラブ広報)だったためだ。

運営上の考え方が根本的に違えばそもそも無理だし、考え方が同じでも、規模が極端に異なればどちらか一方のメリットだけが大きくなってしまう、というわけだ。

 ただ、「専業だけに運営ノウハウは太平洋の方が格段に上。従って、短期的には太平洋のノウハウを吸収できる東急側にメリットがあると言えるが、逆に東急側がノウハウを生かせなければ、長期的に見れば太平洋に顧客を奪われてしまうこともありうる」(ゴルフ場事情に詳しい業界関係者)というシビアな見方も。

「今のところ会員権相場に影響は出ていないが、会員にとってはプラス材料ではあるので、実際に相互利用が始まって、会員から評価を受ければ、影響は出てくるかもしれない」と、大塚ゴルフサービスの大塚重昭代表は見る。会員権の価値向上を促す提携となるか。今後が気になるところだ。

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