> 雑誌・出版情報 > BACK 9 WEB
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/27号
2007/2/15更新
こんなところにも小泉改革の陰が。
森林公園G、全国初のPFI方式で民間に移行

 今春4月、愛知県の人気パブリック、森林公園ゴルフ場で、ゴルフ場としては全国初となる「PFI方式」での運営が始まる。PFI方式の運営とは一体どういうものなのだろうか。


4月から民間に運営移行の森林公園G

 PFI方式とは、一言で言えば公共機関の仕事を、より効率的にやってくれる民間企業に任せる制度のこと。PFIはPrivate Finance Initiative の略で、民間の資金を使い、民間がイニシアティブをとって事業を進める、というような意味だ。

 もともとはサッチャー政権誕生以来、《小さな政府》の実行に邁進していた英国で誕生したもの。PFI先進国の欧米諸国では、刑務所や公立の学校の運営などにも導入されている。

 日本では小渕政権時代の平成11年7月に、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)を制定、平成12年3月に基本方針が策定されている。

 民間に任せれば、公共機関が自前でやるよりも安く上がるのなら民間に任せた方がいい、という発想が根本にある。全国各地にある、作ったきり巨額の赤字を垂れ流し続ける公共施設や、武家の商法ならぬ役人商法で破たんが相次いだ第三セクターに対する反省が背景にある。

 入札を使う点は従来の公共事業と同じだが、発注方法がだいぶ違う。従来の公共事業は詳細に仕様を決め、設計、建設、維持管理、運営それぞれについて別々に入札を実施、発注するが、PFIの場合は全部ひっくるめて提案させる。

 建物の仕様も細かく指示せず、必要最低限に留める。このため、多彩なアイデアが盛り込めるところに特徴がある。

 小泉内閣時代の「骨太の方針」にもPFI法の改正案が盛り込まれたこともあってか、導入事例は増加の一途を。虎ノ門の霞ヶ関ビルの隣で進んでいる中央合同庁舎第7号館の建設工事は国内最大級のPFI事業だし、衆議院議員赤坂宿舎の建て替え工事もPFI方式だ。

 PFI方式には、民間は建物を建てるところまでで、完成したら官に渡して終わり、というBTO方式と、完成後の運営まで請け負うBOT方式がある。

 森林公園ゴルフ場の場合はBOT方式。敷地は愛知県の所有のままだが、建て替えたクラブハウスは民の所有。これを愛知県にタダで貸し、愛知県から指定管理者制度によって民が運営を受託する。

 期間は20年間で、この間、民は独立採算でコースを運営、固定資産税や不動産取得税、法人税は支払うけれど、それ以外は愛知県には1円も払わなくていい。

 コース整備とハウス建て替えに21億円を投じているので、20年後にタダで返す前提ではあるが、36Hのゴルフ場を21億円で買ったのと同じと思えばいい

 入札にはアコーディアグループや、リゾートトラストなども参加したようだが、落札したのは住宅開発会社でジャスダック上場のウッドフレンズ、平尾CCの経営会社である朝日観光、ゼネコンの大日本土木、設計会社の玉野総合コンサルタントと地域計画建築研究所の、いずれも地元愛知県の企業5社で構成するウッドフレンズグループ。

 運営会社である森林公園ゴルフ場運営会社(株)は、ウッドフレンズ7割、朝日開発2割、大日本土木1割の出資割合で設立、ウッドフレンズは資金の出し手、朝日観光がコースオペレーション、大日本土木が工事というのが役割分担。

 平成16年10月の落札から2年半かけての改修を終え、晴れて4月1日からPFI方式での営業に移行する。

 ゴルフ場買収企業としてはニューフェースとなるウッドフレンズは、「住宅事業以外に手がけている都市開発事業の一環として、地元愛知県にある不動産の有効活用という位置づけ。ゴルフ場経営事業に参入しようというわけではない」という。

 地元名古屋の会員権販売会社・日本ゴルフ同友会の中西弘安社長は、「愛知県民のためになる運営を行ってもらうことが重要なので、チェック機関としての監視委員会の設置を愛知県に働きかけている」という。

 多くの県民が利用出来るパブリックコースとしての役割と、経営の安定という二つのミッションをどう実行していくか。注目しよう。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト

ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です