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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2/6号
2007/1/23更新
ハワイ出身のM・ウィとT・フジカワ
ソニーオープン注目度の明暗

 ソニーオープンの最終日、1月14日のハワイの新聞の1面を飾ったのは、トッド・フジカワだった。8日に16歳になったばかりの地元の高校2年生。過去半世紀では最年少の米ツアー予選通過に、ハワイ中が沸いたのだ。片や注目のミッシェル・ウィは、78、76を叩いて、下から3番目でまたも予選落ち。地元ハワイでの人気は、フジカワのほうにスライドして、はっきりと明暗がついた観がある。


ウィ(左)は予選落ち、代わりにフジカワ(右)が大活躍

 この2人、アジア系のハワイ出身のティーンエージャーという共通点で話題になったが、それ以外は何から何まで、対象的なのだ。

 身長にしてもフジカワが約154センチに対して、ウィは180センチを軽く越えている。

 そして、ウィが地元の名門私立高校に在籍しているのに対して、フジカワの方はアマチュアで、「ちっちゃなグズちゃん」なんていう愛称で地元の公立高校では呼ばれている高校生。

 昨年の全米オープンでは、地区予選で、ウィを抑えてフジカワが出場権をものにしたのが、人気がスライドした象徴的な出来事だった。

 しかし、ウィの方は、男子ツアーで予選落ちを重ねて、それに対しての批判の声が高まっているにもかかわらず、

「言いたい人間には言わしておけばいい。自分のことは自分が一番良く知っている。自分で最高だと思えるプレーが出来て、予選落ちをするのなら、あきらめもするが、(男子ツアーへの挑戦を)なんでやめなくてはいけないの」

 とあくまで、高速レーンで突っ走ることばかりを考えているのだ。

 これに対して、フジカワの方は、「最年少で予選を通過したといっても、僕が変わるわけではない。今はジュニアなど、小さな試合を大切に実力を付けていきたい」と地道な各駅停車の道を選んでいる。

 なにより、ソニーオープンでフジカワは、多くのプロのプレーヤーたちが忘れてしまったハイレベルの競技ゴルフが出来る喜びを体全体で表現しており、それが、ファンの心を掴んだ。

「こんな経験は初めて。キャラリーがこんなに応援してくれるとは、思っても見なかった。そんな声援が、自分最高のプレーを引き出したのだと思う」

 フジカワは、71-66-66と最終日を迎えて8位タイの成績で、最終日こそ72で、結果は20位タイの成績だったが、「多くのプロのプレーヤーに勝った」ことで自信がつき、今後彼がどのように成長していくかが楽しみといえる。

 ソニーオープンで優勝したポール・ゴイドスは、「今週の最大の話題はフジカワ」と語っていたが、少なくともフジカワが、多くのプレーヤーに初心を思い出すきっかけを与えたことは間違いがないようだ。

「戦前の大昔に祖先が日本から来たことは知っている」という日系のフジカワ。

 彼の母親ローリ・フジカワに言わせると「彼は早産の未熟児で、生き残れるチャンスは50パーセントと医者に言われた。何で早産になったのかまったく理由が分からない。きっと世界を見たくて、早く出てきてしまったのでしょう」とのこと。

 ゴルフ界でも、10代の若いうちから、世界を見ているプレーヤーは少なくないが、大成するプレーヤーは限られている。逆に、大成するプレーヤーの秘密は、ゴルフに対する情熱を失わないことにある

 彼が今持っている情熱を失いさえしなければ、将来、プロとしてサバイブし、活躍していける確率は十分にありそうだ。

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