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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/5号
2006/11/21更新
手嶋多一、欧州ツアーQTに挑戦
親も知らなかったそのワケに迫った

 先週、スペインで行われた欧州ツアーのファイナルQTに、日本から手嶋多一がひそかに? 挑戦していた。残念ながら悪天候のため最終日が2日も遅れ、16日になったため、結果はお知らせできないが、今回の挑戦は手嶋にとっていろんな意味でタイミングに恵まれていたようだ。


自分の中ではジャストタイミングだったのだが……手嶋多一

 手嶋の欧州ツアーQT挑戦には唐突感があるが、本人は以前から考えていたことで、ここ数年は毎年のように出場申請をしていた。

 ところが、テロ騒ぎや自身の調子が落ちるなどでたまたまタイミングが合わず、今回が初挑戦となった。それだけに周囲からの大きな期待も集めて……と言いたいところだが、事情が違った。

 実は、正式発表をせず、一部関係者にしか知らされていなかった。なんと、親も知らなかった。そのため、渡欧直前にちょっとしたハプニングがあった。

 出発前週、地元・福岡で開催された「アサヒ緑健よみうり麻生飯塚メモリアル」の会場には、実家から手嶋の父親も応援に駆けつけていた。そこで、以前から顔見知りの佐藤信人が挨拶したついでに「来週、出発ですね」と口にした。

 ところが、手嶋の父親は何のことか分らず、「うちの多一はどこかに行くのか?」と驚いて聞き直したものだから、慌てたのは佐藤。「えっ!? 手島は連絡してないんですか?」

 それから佐藤は他人事にもかかわらず、恐縮するように説明したという。手嶋が正式な発表を行っていれば、その前に親にも知らせたのだろうが……。

「手嶋は、普段は気さくに何でも話す性格なんだけど、オフィシャルな場で、改まって話をするのがとにかく苦手なんです。だから、今回も別に隠れて渡欧したわけではないと思うが……」というのは、彼を良く知るメディア関係者だ。それはともかく、今回の欧州ツアー挑戦は何かとタイミングに恵まれていた。

 まずは、何といっても最終判断を下す直前のブリヂストンオープンでシーズン2勝目を飾り、国内ツアーの3年シードを得たことだ。そのことで、最終的に出場に踏み切ることができた。

 加えて、欧州ツアーにおける、彼の所属先・ミズノの存在は大きい。同社は昨年、欧州ツアーとの間で結んでいたオフィシャルワークショップの契約を20年延長した。

「クラブの性能とクラフトマンの技術の高さが、評価された結果と思っています」(広報室・西田維作氏)

 そのため、同社は来年もほぼ全試合にツアーバスを派遣することになる。手嶋にとっては心強い限りだ。

 また、最近のユーロ高円安の効果もあってか。このところ欧州におけるミズノのクラブ、なかでもアイアンの販売が好調なのだ。「ヨーロッパでの売上は着実に伸びています。イギリスのアイアンの販売シェアで、1カ月間だけですがトップになったことがありました」(西田氏)

 こうした背景から、手嶋の活躍次第では、同社からより手厚いサポートが期待できそうだ。もっとも手嶋は、始めからそんなことを期待できそうだ。

「アメリカの大学を出ているので、米ツアーのことはよく知っていますが、全英オープンに出場(01年と02年)したときに、欧州ツアーの雰囲気が気に入ったらしく、いずれ挑戦したいという話は聞いていました」(所属するミズノのプロ担当)

 加えて、手嶋の飛距離ではロングドライブの選手層の厚い米ツアーでは苦しいが、欧州ツアーはもともとショットメーカーが有利なコースセッティングをコンセプトにしている。その点で手嶋のチャンスは広がる

 ただし、「欧州ツアーをずっと転戦するつもりはないようです。基本的に、両ツアーで賞金シードを守れるようにしたいと考えているようです」(同ツアー担当)

 そして、調子が良ければ、欧州ツアーの賞金ランク、あるいは世界ランキングで上位に進出し、そこからメジャーへの階段を昇りたいというのが、手嶋の腹積もりのようだ。

 さて、その前段階のファイナルQTも含め、手嶋にはどんな結果が待っているのだろうか。佐藤信人の撤退以来、欧州ツアーで常時プレーする日本選手はいなくなっただけに、大いに注目される。

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