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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 11/7号
2006/10/24更新
債務超過のキャスコに支援スポンサー決まる。
再生のハシラはUTと国産FW

 業績不振に陥っていたキャスコが、このほど第三者割当増資を行い、株式総数の92パーセントを取得した投資会社ネクスト・キャピタル・パートナーズから派遣された本坊吉隆新社長の下、事業再生計画をスタートさせた。


純国産、ハイテン製FW、TF106。キャスコ再生のカギとなるか

 香川県の地場産業である手袋の製造販売会社として1959年に創業したキャスコは、64年にゴルフ用グローブの製造を開始した老舗ブランド。

 82年にはゴルフボール、92年にゴルフクラブの製造を手がけ、自社工場で一貫生産を行う日本でも数少ない総合ゴルフ用品メーカーとなり、93年3月期には年商99億3100万円を売上げ、四国を代表する企業に成長した。

 しかし、近年はゴルフ市場縮小の影響をもろに受ける格好となり、06年3月期の売上高は52億4900万円とほぼ半分にまで落ち込んでいた。

 99年に発売したパワートルネード・ユーティリティは累計50万本を売る大ヒットシリーズとなり同社の屋台骨を支えたが、皮肉なことに足を引っ張ったのもユーティリティだった。

 初代パワートルネードは30万本強、2代目も約10万本が売れたが、04年に発売された3代目でつまずいた。最大の要因はマーケティングの失敗にあった。

「元々アベレージ向けとして開発した初代と2代目が上級者にも使われていたため、3代目はプロの意見も取り入れて作ったところやや難しいクラブになってしまった」(キャスコ営業企画部/六車拓人氏)

 レギュラーとディープの2タイプに膨らんだ商品構成、さらには派生モデルのアイティリティはじめ、ドライバーからパターまでラインナップの拡大も裏目に。強気の販売計画に反して増える不良在庫が同社の喉元をじわじわと締めていった。

 今年3月期には債務超過は約60億円に達し、もはや自力での再生は不可能と判断した同社では、RCC(整理回収機構)の仲介によって支援企業を募り、複数候補の中から選ばれたのがネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)(以下ネクスト社)だ。

 同社は元産業再生機構執行役員の立石寿雄社長と今回キャスコの社長に就任した本坊副社長が立ち上げた投資ファンドの運営会社で、両氏とも数々の企業再生を成功させてきた実績がある。

 キャスコの事業再生計画はRCCのスキームにそった自主再建というのが建前だが、経営責任をとる形で旧オーナー家は株式を無償譲渡、金融機関による約30億円の債権放棄、不採算事業からの撤退等それなりに痛みを伴う内容で、実質の再スタートといっていい。

 ゴルファーにとって気がかりなのは今後の製品ラインがどうなるか。

 本坊新社長は、ゴルフ用品業界に共通する課題として飛距離偏重からの脱却を挙げながら、安定した需要が見込めるグローブやボールなどの消耗品、そしてクラブでは同社独自のスーパーハイテン素材の強みを生かせるユーティリティや国内生産のこだわりフェアウェイウッドが再生の鍵になるとの考えを示している。

「リタイア後の団塊世代はまだまだゴルフ市場を引っ張っていくと考えています。潜在的なブランド力はあるので、ニッチ市場をねらえば必ず立ち直れます」(本坊社長)

 ゴルフ用品業界では、マルマン、本間ゴルフ、今回のキャスコとオーナー企業の破綻が相次いでいるが、マルマンは昨年上場を果たし、本間ゴルフも新ブランド・ベレスを柱に再生への道を歩んでいる。

 創業者オーナーの強力なカリスマがいなくなって、風通しのよくなった新生キャスコでも、3年後の上場を目指して社員の士気はかえって高まっているようだ。

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