> 雑誌・出版情報 > BACK 9 WEB
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/3号
2006/9/20更新
宮里藍優勝でお騒がせ≪ボール騒動≫など
報じられなかった日本女子プロの舞台裏

 ギャラリー、報道陣、大会関係者がヒートアップする中、プレッシャーと戦いながら史上最年少で日本女子プロ選手権初制覇を果たした宮里藍。その姿は、米国でパワーアップしてきたスーパーヒロインを印象付けるのに十分だったが、本当は水面下で何が起こっていたのか。テレビ、新聞が報じなかった藍帰国騒動の一部始終を追った。


予期せぬ出来事をものともせずに堂々の優勝、宮里藍

 現地入りしてすぐに行った記者会見の席で、いきなりV宣言を行った宮里。ポジティブな自己主張とその裏づけとなるパフォーマンスが評価される米国での8カ月が、凛とした宮里の態度に磨きをかけていた。

 宮里参戦を受けて、大会側は報道関係者の殺到を予想。特に、クルーを多く必要とすることから、中継局以外のテレビ取材に関しては、やむを得ずキー局だけに規制することを決め、その旨を伝えた。

 そのせいもあって、実際に取材に訪れた人数は申請されたそれを下回ったものの、それでも通常とは比べ物にならなかった。

 大会前に発表された予選ラウンドのペアリングは宮里、不動裕理、大山志保が同じ組。米国帰りの人気者と、6年連続賞金女王、さらに現在賞金ランク首位という組み合わせは、ファンにすれば理想的だ。

 だが、昨年までは過去の実績を重視して組み合わせをつくっていたこともあり、不動は困惑を隠さなかった。

 組み合わせを聞くなり「(これまでとペアリングの作り方が)変わりましたよね」と発言。海外参戦が多く、結果が今ひとつの状況とあって、ディフェンディング・チャンピオンであることも忘れて首を傾げていた。

 主催の日本女子プロゴルフ協会(LPGA)も、せっかく目玉のペアリングを作ったというのに、これについて尋ねられるとしどろもどろになってしまった。

 他の選手に突っ込まれることを予想してか「ワールドランキング調整枠」というわかりにくい理由付けをしたのはいいが、石崎悦子担当理事が、受け答えに四苦八苦して、舞台裏をさらけだしてしまった。

 競技そのものは悪天候に見舞われたことで、予選ラウンドで特別規則(球を無罰で6インチ動かせる)を適用。これがまた物議をかもす。午前組、午後組でスコアの差も出たことから、選手からの不満が爆発した。

 この特別規則について対応が分かれたのが、不動と宮里だ。「球はあるがままプレー」というゴルフの精神にのっとり、36ホールまったくこの救済を使わなかったのが不動。「長い目で見たらプラスになりますから」と、ノータッチのプレーを続けた。

 対照的に宮里はこれを何度か使って優勝争い。結局、救済の適用されなくなった決勝ラウンドに入っても不動が巻き返すことはなく、明暗が分かれた。

 宮里効果でギャラリー、関係者ともにトーナメント慣れしていない人々が集まった影響も出た。

 3日目の3番で林に打ち込んだ横峯さくらのティショットを、ギャラリー整理の学生が勝手にピックアップしてしまったのだ。横峯はこれに驚きながらも、局外者が動かした球として処理したものの、動揺からか、このホール、ダボと崩れてしまった。

 また、最終日の9番グリーンで宮里と同じ組で回っていたシン・ヒョンジュがマークしないままボールをピックアップする事件も起こった。これは、

「7番あたりからトイレに行きたくて早くプレーをしたかった。9番のハーフターンでトイレに行こうと思っており、自分ではお先にのパットをしようと考えていた。それがなぜか、ボールを拾い上げてしまった。同伴のジョン・ミジョンのキャディさんに言われ、頭の中が真っ白になってしまった」(シン・ヒョンジュ)というのが、ことの真相だった。

 プレーに集中し、プレッシャーをはねのけて優勝した宮里本人のあずかり知らぬところで起きた事件の数々。

 かつて岡本綾子が米ツアーから帰国するたびに起きた≪綾子フィーバー≫を思わせる大騒動が、北海道で勃発。その中心人物はまだ21歳とあって、まだまだ予想もつかないことが次から次へと起こるに違いない。

 宮里の次の参戦は今週のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン。舞台となるのは、東北高校時代を過ごした≪準地元≫の宮城県とあって、宮里に身近な思いを抱いているファンが殺到することも十分予想されるが、今度は何が起こるのか。

 冷静にプレーに臨む宮里本人と、これに戦々恐々とする周囲の選手たち。すでにこの時点で勝負がついている気がしなくはないが……。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト

ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です