週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　8月に入ってツアーは今シーズンのほぼ半ばを終了した。国内戦はまだまだ終盤にクライマックスを残してはいるが、これまでの男女両ツアーを改めて検証してみよう。まずは女子ツアー。ここで女子を先にあげる時点で、ここ2年ほどの男女人気逆転現象が浮き彫りになるのだが、宮里藍の不在響がかないといったら嘘になる。

　女子ツアーでは、何人かの選手が踏ん張って、何とか昨年来の人気を支えた。

　序盤戦では不動裕理が6年連続賞金女王の貫禄を見せる。第2戦、アコーディアゴルフレディスで今季初優勝を飾ると、3試合後のライフカードレディスで2勝目。7年連続タイトルに突っ走るかに見えた。

　だが、今季はこれまでと違い、積極的に海外進出を目論む不動は「賞金女王は最初から考えていません」と、あっさり国内を留守にする。

　その間を支えたのが、元々不動と同じ清元登子門下生だった大山志保だ。

　難コース、川奈が舞台のフジサンケイレディスで、苦しみながらも今季初V。さらに2週後のサロンパスワールドレディスでは、川奈とは違う意味で難しい東京よみうりCCを制覇した。

　この大会は実力が物を言う4日間競技。それだけに賞金女王取りと、来年の海外進出を高らかに宣言した。

　大山はロレックスランキングで出場権のあった全米女子プロ選手権も辞退して女王取りのため国内に専念。その是非はとにかく、不動、宮里不在の間、ほとんどの試合で優勝争いを演じる安定した力で、国内戦を盛り上げた。

　韓国の実力者、イ・チヒの存在も忘れてはならない。ヴァーナルレディス、中京テレビブリヂストンと連勝して、賞金レースで大山とデッドヒートを展開。独走を許さないことでツアーに緊張の糸を張り巡らした功績は大きい。

　こんな風に主役が入れ替わりながら、何とかテレビ視聴率と共に人気を保ってきた女子ツアーだが、6月に入るとかげりが見え始める。一時は男子ツアーに視聴率で逆転され「これまでか」と思わせたほどだ。

　だが、ここで救世主が現れるのが今年の女子ツアー。開幕当初から活躍が期待されながら勝てずにいた昨年賞金ランク4位の横峯さくらが、ニチレイレディスでようやく優勝。

　父、良郎氏も含めて全国のゴルフオヤジに絶大な人気を誇る娘の優勝で、人気は再び持ち直した。

　翌週は、20歳の飛ばし屋、藤田幸希が初優勝。新たなヒロイン誕生がスパイスとなった。

　続くベルーナレディスでは、横峯が今季2勝目。初出場となる全英女子オープンへの期待とともに、賞金レースへの参戦も含めて、シーズン後半へと興味を維持できそうだ。

　スタンレーレディスで優勝した古閑美保、優勝こそないものの底力を見せる服部道子、福嶋晃子のベテラン勢と、層が厚くなりつつあることを示す女子ツアー。

　後半戦は、不動の帰国と、宮里の参戦がいつになるかという興味と共に、すでに2勝しているジョン・ミジョン、イ・チヒの韓国勢らの活躍次第で、まだまだどうなるかわからず、人気が沸騰した昨年ほどではないにせよ、ファン離れは起きそうにない。

　一方、男子はといえば、今年も寂しさを否めない。

　誰が強い、ということはなく、よく言えば群雄割拠、悪く言えばドングリの背比べの状態で前半戦が終了してしまった。

　2年連続賞金王の片山晋呉も、中日クラウンズで1勝しただけ。その後は故障もあってメジャーでもいいところなしの状態が続いている。

　2勝している選手はおらず、目立ったのは日本プロで初優勝を果たした近藤智弘、JCBクラシック仙台で3勝目を挙げ、さらに全英オープン5位と大健闘した谷原秀人の2人くらい。

　海外を拠点とする面々も、特筆すべきは序盤戦不調だったエース、丸山茂樹が上り調子なのと、全米オープン12位の今田竜二くらいなもの。

　強いて付け足せば、丸山大輔が踏ん張っているという程度では、宮里がメジャーの優勝争いを演じた女子の人気には、遠く及ばないのも無理はないだろう。

　チャンピオンズツアーも、尾崎直道、倉本昌弘がルーキーとして参戦しており、実力的にはいつ勝ってもおかしくないはずだが未勝利のまま。何よりルーキーに最大のチャンスがあるといわれる同ツアーだけに、早いうちに結果を出したいところだ。