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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/8号
2006/7/25更新
日本初の全員自主運営コース
「ニュー・セント」が頓挫。オリックスの傘下に

 会員による自主運営コースの先駆けとも言える、ニュー・セントアンドリュースゴルフクラブジャパン(以下、NSAJ)の経営会社、株式会社エヌ・エス・エイ・ジェイの再生計画案が、オリックスグループをスポンサーとする方向でとりまとめられる見通しになった。

 NSAJは、25年前の経営母体破綻を機に会員の自主運営コースに移行。預託金はカットせず、コースの買い取りに必要な資金約20億円は会員の出資で賄う一方、オールドコースや、そのアクセスのためのモノレール設置などの設備投資資金は、会員権の新規募集と足利、栃木両銀行からの借入で調達した。

 が、ゴルフ場の業績が悪化し、銀行への約定通りの返済が滞っていく中、足利銀行の債権はRCCに、栃木銀行の債権は商工ローン・ニッシンの子会社であるニッシン債権回収へ譲渡されてしまう。

 ゴルフ場に担保を設定しているこの両社からの返済要請が原因で、NSAJが民事再生手続きの申立に至ったのは今年2月1日。

 当初現執行部側は、預託金の全額カットプラス30万円の拠出金等を骨子とする、自主再建型のスキームを提案していたが、現状認識が現執行部と異なるとして、会員の一部から異議を唱える上申書が裁判所に提出されたのが今年4月。

 結局、30万円の拠出申し込みが計画を大幅に下回ったこともあり、自主再建を断念しスポンサー型に移行することに。

 6月30日付けで執行部側が会員に示した案の骨子は、

≪1≫株式の100パーセント減資を実施した後、オリックスグループが増資を引受け、100パーセントオリックスグループの会社になる。

≪2≫オリックスグループから払い込まれる資本金や同グループからの借入金で、まずRCCとニッシン債権回収に一定の弁済をして担保をはずしてもらう。

≪3≫2社への弁済後の残額で、預託金債権者を含む再生債権者に一定割合の弁済をする。

≪4≫継続希望会員には認可決定後に一括弁済、継続希望会員は10年据え置き後退会時に弁済。

≪5≫継続希望会員には従前の会員種別通りのプレー権を保証する、といったところだ。

 退会会員と継続会員の弁済率には若干の差を設ける予定だが、会員の弁済率は現在交渉中の担保権者への支払金額が確定しないと算出できない。

 いまのところ8月1日までに会社側が再生計画案を裁判所に提出し、9月中旬には会員を含めて債権者に計画案を配布、10月上旬には書面投票もしくは債権者集会開催というスケジュールを予定しているが、事務手続き上の関係で、各々若干の遅れが出る可能性はある。

自主運営の歴史には幕を閉じることとなったが、担保権者からいつ競売されるかわからないという不安定な状態が解消するということは、プレー環境の維持上重要なことだろう。

「コースやクラブハウスの改修などについて、オリックスはかなり具体的に考えているという印象を持っている」(民事再生手続きの申立代理人である高城俊郎弁護士)

音に聞こえたJ・ニクラス設計のこの難コース、集客自体簡単ではない、ラウンドに要する時間が長いなど営業効率も平易なコースのようなわけにはいかない。その上あえてこのコースをこよなく愛する《うるさ型》の会員も数多い。

 真里谷CC問題でゴルフ界から総スカンを食ったのはもはや昔話。そのオリックス傘下コースは今回のNSAJで23コースになる。オリックスはどう舵取りをしていくのか、注目しよう。

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