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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 5/23号
2006/5/12更新
タイガーが父親看病のため2カ月の「休戦宣言」
全米OPで復帰後、不安視されるメジャー獲り

 タイガー・ウッズの休戦宣言が波紋を呼んでいる。父親のアール氏の病状悪化を理由に、6月の全米オープンまで、試合の出場をしばらく見合わせることを発表したタイガーだが、マスターズ以降、シーズン最盛期に2カ月以上の「休暇」ということもあって、さまざまな波紋を投げかけている。


昨年の全米OPでは優勝を逃した

 先の4月下旬、専属キャディのスティーブ・ウィリアムスの結婚式のためにニュージーランドを訪れていたタイガーが、南半球から突然のニュースを発表し、米ゴルフ界を驚かせた。

「父は病気と戦う闘士で、今は、生きている奇跡のようなもの。ただ、状況がはっきりせず、そのためしばらくPGAツアーの出場を見合わせるつもりだ」
 と発表した。

 タイガーは3月末のザ・プレーヤーズ選手権では、練習ラウンドを休んで、急遽フロリダからカリフォルニアにトンボ返りした。

 また、マスターズでも「ゴルフより先に、家族が優先」と語り、父親が危篤ということになれば、試合中でも実家に戻ることを示唆していただけに、アール氏の病状がかなり深刻であることは知られてはいた。

 しかしその一方では、母親のクルチダさんも、マスターズへ観戦に来ているし、タイガー本人も13時間も時差のあるニュージーランドまで、足を伸ばしている。

 たぶんアール氏が、ガンの末期で余命いくばくもないと宣言されているのは、間違いないだろうが、キャディのためにニュージーランドに出かけているのに、アメリカの試合には出られないというのは、ちょっと妙な部分もある。

 あくまで推測だが、「全米オープンに関しては、必ず出場したい」とタイガーが言っていることを考えると、アール氏の余命があと1カ月前後と、医師から宣告されているのかもしれない。

 テレビの解説を行っている往年の名手ジョニー・ミラーが、「タイガーに転機が訪れるとしたら、彼が結婚するとか、父親が他界した時だろう」と以前に語っていたが、ある意味では、30歳になっても、ファザコン気味のタイガーにとって、Xデーが、どのような影響を及ぼすのかが、まず第1に心配されるだろう。

 病気の父親に、自分が勝ち続ける姿を見せることが一つのモチベーションになっていると見られていただけに、もしその父親がいなくなってしまった後に、どれだけ勝とうという強い意思を持ち続けられるかが、懸念される。

 しかも、現在はフィル・ミケルソンがメジャーを2連勝中。全米オープンに出場するといっても、それまで試合に出場していなければ、試合感覚が鈍ってしまう。そんな中途半端な状況で全米オープンに出てきても満足できるプレーは期待できず、いま登り調子のミケルソンに王座を明け渡すことにもなりかねない。

 ミケルソンに限らず、アーニー・エルスやビジェイ・シン、レティーフ・グーセンなどが、虎視眈々と「ボストタイガーの座」を狙っている中で、父親の危篤と長期の休養とで、群雄割拠のゴルフ界の勢力地図を塗り替わる可能性は、十分にあるだろう。

 加えて、シーズン最盛期での2カ月の休みとあって、全米オープン後、かつて出場したことがないような試合にも出場せざるをえなくなる。PGAツアーの最低出場試合数を消化するためだ。

 となれば、これまでのようなスケジュールで、全英オープンや全米プロに向けて準備をすることが出来なくなり、今年のメジャー獲りにも、赤信号とは言わないまでも、黄信号ぐらいはつきそうだ。

 5~6年前ほどではないが、いまでもタイガーが出場しないとTV視聴率は上がらない。そうした中で、PGAツアーの来年からの放映権交渉が、すでに終わっていることは、PGAツアー関係者にとっては救いといえるかもしれない。

 しかしタイガーの出場を期待していたトーナメントスポンサーたちにとっては文句も言えず、ガッカリというところだろう。いずれにしても、PGAツアーの看板でもあるタイガーだけに、2カ月の休みの波紋は大きいようだ。

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