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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/9・16号
2006/5/1更新
クラブ設計家ロジャー・クリーブランドが語る
ミケルソン、ソレンスタムのこだわりクラブ観

「フィル(ミケルソン)は今年もメジャーに勝ちたいとは言いました。我々は彼を勝たせるために、あらゆる分野の専門家を集めてチームを作りました」。そのチームの中心的メンバーでもあるキャロウェイゴルフ・チーフデザイナー、ロジャー・クリーブランド氏が、マスターズ優勝に至る舞台裏について語った。


クラブにも妥協しません

「フィルは、1月からオーガスタ、オーガスタと言い続けており、完全にマスターズに照準を定めていました」

 今年、ミケルソンは2本ドライバーの奇策で臨んだ。その前の試合では代わりに56度のウェッジを抜いたが、マスターズはスプーンを抜いた。何を抜くかは、どこでパーをとっていくか緻密な計算をした上で決められる。

「距離が長くなったことをフィルも気にしていました。オフには、シャフトを伸ばすことで一体どれくらいの効果があるのかを確かめるため、47インチまでテスト。その結果、長尺を気に入ったフィルは1本を46インチにしました。このヘッドはドローボール用でスピンが少なく、ヘッドスピードが上がるので、25ヤードもよけいに飛びます」

 しかし、一番のねらいは飛距離ではなかった。

「オーガスタはティショットの置き場所がすごく限られるコースなので、必要飛距離よりもフェードとドローを自在に打ち分けることが必要だという結論になりました。そうすればどのホールでもフェアウェイを広く使うことができます。そこで、ヘッド内部のウェートを動かして、狙い通りの弾道が出るようにしました」

 ドライバー以外のクラブも、風、ターフコンディションなどを考慮し、オーガスタ用に弾道をコントロールしている。

「インストラクターもまじえ、何度もディスカッションして、ショートアイアン、とくに70から80ヤードをどう攻めて行くか徹底的に調整しました。
フィルは低めの弾道で止まる球が打ちたいと言いました。弾道が低くなれば、風が出ても自信を持って打っていけるからです。
スピンはスウィングでコントロールできるので、私はヘッドを少しずつ削って、重心を上、そして前に動かしました」

 クリーブランド氏によれば、ミケルソンとアニカ・ソレンスタムのようにメジャーで何度も勝つ選手には共通項があるという。

「ボールがどういう飛び方をするか。結果を最重視するところは、フィルもアニカも同じです。
フィルは、最初、トップラインを厚くして欲しくないと言っていましたが、厚めのアイアンを3週間使ったら、以前使っていたものより安定感があると受け入れてくれました。いまでは厚さは問題にしていません。こだわっているのはミラー仕上げくらい」

 また、普通の選手よりも突出している能力は集中力だと考えている。

「タイガーもそうですが、成功するために何が必要か常に考えているタイプ。そして二人とも、すごくアクションを起こすのが早い。彼らがやろうと言い出したら我々もすぐ動かなければなりません」

 トップ選手ほど要求は具体的だ。ミケルソンは、キャロウェイと契約した際に、35ヤードのアプローチで1フィート戻る球が打ちたいと言った。要求が具体的であればあるほど、明確な答えを出さなければならない。

「彼らのようなトッププレーヤーを満足させるには、我々にもプレッシャーがかかります。ときにはクラブだけでなく、ゴルフボールも改良する必要も出てきます。メジャー優勝はチームとして頑張った成果」

 とクリーブランド氏は胸を張るが、メジャーチャンピオンの条件には、スタッフとの信頼関係も加わっているようだ。

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