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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 3/21号
2006/3/8更新
シード選手21名、世界ランク100位以内に24名
米女子ツアーを席捲する若手コリアン・パワー

 宮里藍や諸見里しのぶの米ツアー参戦で注目を集める海外女子プロゴルフ。アメリカでもミッシェル・ウィのプロ転向に加え、モーガン・プレッセル、ポーラ・クリーマーなど10代から20代前半の活躍で、今年は俄然、女子ツアーの注目度が高くなっている。シーズン前の下馬評では、女王アニカ・ソレンスタムにこうした若手がどこまで食い込めるかが話題となっていたが、始まってみれば韓国勢の若手の強さばかりが際立っている。

 宮里も参戦した2月初旬のANZオーストラリアン・レディースマスターズでは、日本勢の不振を尻目に、なんと16歳のアマチュア、エイミー・ヤンがプロを押しのけて優勝。

 オーストラリアの高校に通っているとはいえ、韓国出身で、もの凄い若手が現れたと関心する間もなく、米女子ツアーの初戦、SBSオープンでは、21歳のキム・ジョミが、同じ韓国出身のムン・ソーヨンらをプレーオフで下して米ツアーで初優勝した。

 そして第2戦のフィールズ・オープンでも二人のリー(ミーナ・リーとリー・スンワ)がプレーオフで争う始末。ミッシェル・ウィは最終ホールでバーディチャンスを逃し3位に終わったが、ウィも韓国系アメリカ人であることを考えれば、いかに韓国勢が強いかが分かるだろう。

 オーストラリアン・マスターズでは、地元に住む有利さも手伝っただろうし、米女子ツアーの初戦、第2戦がハワイで開催されたことも、韓国出身のプレーヤーにとっては時差が少なく、欧米のプロたちに比べて、プレーしやすい環境にあったかもしれない。

 しかし、なんといっても韓国勢の強さの秘密は、層の厚さにある。米女子ツアーでは、141名のシードプレーヤー中21名が韓国出身者だし、先ごろ発表された女子ワールドランキング100位以内の4分の1にあたる24名が韓国籍だ。

 昨年の全米女子オープンで優勝したバーディ・キムが、「女子ツアーにキムという名前のプロが多いから、名前を覚えてもらえるように、アメリカではバーディという名で戦っている」と語っていたが、キムの名前を持つプレーヤーは米女子ツアーに6名もいる。

 ある意味、これだけの数のプレーヤーがいれば、絶好調というプロが、毎週一人や二人は出てくるもので、韓国勢がいつ優勝してもおかしくない状況にあるともいえる。

 韓国にゴルフブームの火をつけたパク・セリがデビューしてすでに9年が経つ。彼女をテレビで観てゴルフを始めた世代が、いま育ってきているのだ。

 アメリカの某ゴルフコメンテーターが、
「米国などに比べて、社会への女性進出が遅れている男性社会の韓国では、少女たちが世界で活躍するパク・セリなどに憧れたのは、自然の成り行きだろう。それに加えてお金も稼げるとなれば、なおさらだ」
 と語っていたが、そんな背景が他の国のプレーヤーとは比較にならないハングリーさを生んでいるのかもしれない。

 しかし一方で、アメリカ人の若手プレーヤーたちの進出で人気を盛り返してき米女子ツアーだけに、韓国人ばかりが優勝しては、その勢いに水を指しかねない、といった危惧もある。

 かつて、セクシープロとして知られたジャン・スティーブンソンが、パク・セリやグレース・パークの全盛時に「ギャラリーの中で飛び交うのは、韓国語ばかり。これじゃあ、LPGAの評判を落としてしまう」と口を滑らせ、「差別発言」として顰蹙を買ったこともある。

 いまでこそ表立って口にする人間はいないが、韓国勢の活躍を苦々しく思っているツアー関係者たちがいることは間違いないだろう。

 しかし、スポーツは実力の世界。年頭からこれだけ韓国勢の優勝が相次ぐと、今年も女子ゴルフ界は「コリアン・パワー」一色に染まることになるだろう。

 そういえば、先のトリノオリンピックでは、日本のメダル獲得が金一つだったのに対して、韓国は金6つを含む11のメダルを獲得した。ゴルフでも、優勝の数では韓国に及びそうもないが、宮里や諸見里が早く米女子ツアーで「優勝という金メダル」をひとつでも取ってくれることを期待したい。

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