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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 3/7号
2006/2/24更新
4兄弟ともに有名レッスンプロの「ハーモン一家」
カプルス、スタドラーのコーチ、3男ディックが死去

「 ハーモン王国」の一角が崩れた。1948年のマスターズチャンピオン、クロード・ハーモンの4人の息子の一人、ディック・ハーモンが、先の2月10日にカリフォルニア州のパームスプリングスで他界した。享年58歳。

 日本ではあまり彼の名前は知られていないかもしれないが、タイガー・ウッズやグレッグ・ノーマンのコーチを務めたブッチ・ハーモンの弟が、このディックだ。

 先の1月26日には、すでに他界している父のクロード・ハーモンが、ゴルフティーチャーの殿堂入りを果たし、長兄のブッチ、次男のクレイグ、3男のディック、末っ子のビルの4名が、揃ってPGAショーの会場に現れた。

 その後プライベートジェットでパームスプリングスに飛び、兄弟揃って3日間のゴルフスクールを開いたことで話題になった矢先の出来事だった。

 亡くなったディック・ハーモンは、24年間リバーオークスCCのヘッドプロを勤めた後、数年前にテキサスのヒューストニアンCCで「ディック・ハーモン・スクール・オブ・ゴルフ」を開校していた。

 たまたま訪れていたパームスプリングスで、新星プロのルーカス・グローバーのレッスン中に心臓発作で倒れ、翌朝には帰らぬ人となってしまった。

 彼の教え子には、フレッド・カプルス、ジェイ・ハース、クレイグ・スタドラー、スティーブ・エルキントン、ラニー・ワドキンズなど錚々たるプロが名を連ねているのと同時に、兄弟たちとともに、アメリカのベストレッスンプロの一人として、彼の名が知られていた。

「ディックの悪口を言う人間に出会ったことがない。彼は偉大な人格者で、彼のコーチを受けるのは、本当に楽しかった」とラニー・ワドキンズが回想するように、4人の兄弟をまとめていたのは、3男のディックだったのかも知れない。

 4人の兄弟は、父親がヘッドプロを勤めていたニューヨーク郊外のウィングドフットCCで育ち、現在、次男のクレイグはニューヨーク州のオークヒルCCのヘッドプロとして30年以上も勤めており、PGAオブ・アメリカのTVCMにも出演しているほどだ。

 末弟のビルは、タイガー・ウッズが毎年TVマッチを行うカリフォルニア州パームデザートにあるビッグホーンCCのヘッドプロ。

 これに現在ラスベガスにスクールを持つブッチを加えれば、アメリカの名門ゴルフコースを網羅することにもなり、教え子のプロたちが、どこへ行くにもコースの詳細な情報が手に入るネットワークとなっていた。

 かつてブッチが「スウィングを見る目は、弟のディックの方が自分より上だよ」と語っていたが、兄弟間の連絡はかなり密接にあったようで、兄弟がお互い助け合い、意見を交換しながらクラブプロ、レッスンコーチとして4人ともに押しも押されぬ現在の地位を築き上げてきたといえるだろう。

 それだけにディック他界のニュースを聞いたブッチは、「昨日まで元気だったの……。信じられない」と声を詰まらせる。

 そうした意味では、ディックの訃報は、残された妻や4人の子供たちばかりではなく、兄弟たちに与える影響も大きいようだ。

 華々しいツアープロの世界からすれば、あくまで裏方かもしれないが、アメリカを代表するクラブプロ、レッスンプロだった4兄弟はゴルフの世界で「ハーモン王国」を築いた。その一人が思わぬ形で他界したことを嘆くプロやゴルフ関係者は多い。

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