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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 1/10-17号
2006/1/11更新
日曜の午後はテレビで女子ツアー観戦
「国民的アイドル」になった宮里藍の1年

 05年は「藍ちゃんイヤー」だった。「藍ちゃん効果」という言葉は04年から広く喧伝されてきたが、05年のゴルフ界はそれが言葉だけでなく、明らかな経済効果として現れた一年だった。藍ちゃん効果により、あらゆる面で活発度を増した国内女子ツアーのこの一年を振り返ってみた。


米QTにトップ合格

「飛ぶ鳥を落とす勢い」と言うべきなのだろう。05年の女子ツアーは賞金規模、TV視聴率、入場者数、メディア露出度など、トーナメントを取り巻くあらゆる分野で爆発的な拡大をみせた。

 そして12月13日に行われた06年日程発表の席上、冒頭挨拶に立った日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の樋口久子会長は満面の笑みで、ギャラリー数の合計は前年比1.5倍の約52万余人、1試合平均で5000人増の1万5808人の賑わいだったこと。

 また、テレビ中継の視聴率(日曜日、関東地区)も平均10パーセントになったと感謝の言葉を口にした。

 ちなみに男子ツアーの05年総ギャラリー数は44万人余(1試合平均1万5220人)で、初めて女子に逆転された。

 この人気の急騰は株式市況に例えれば、連日ストップ高が続いているようなもので、当然、06年のツアー規模は賞金総額で2年連続過去最高を更新している。

 バブル崩壊後、10年間ほどずるずると後退、低迷してきた賞金総額も、04年から急回復。ここわずか3年で8億円近くも拡大したことになる。

 この活況に、LPGA事務局はメディアやギャラリーの対応等で、過去経験したことのない多忙な毎日が続いた。

「05年は大変忙しい中にも、活気に満ちた年でした」(広報担当)として、2月のワールドカップ女子ゴルフ優勝に始まり、注目ルーキーの横峯さくらの初優勝、宮里藍と不動裕理の賞金女王争い、諸見里しのぶのプロデビュー……と、年間を通して華やかで見ごたえのある話題が展開された一年だったことを改めて実感している。

 また、トーナメントプロデューサーの加々美光一氏(東急エージェンシー)は、「数年前には想定できなかったことが起こっているようです。なかでも、トーナメント会場に子供たちの姿が多くなったこと、それと初めて観戦される方が増えたことは(現在の女子ツアー人気を)象徴する現象でしょう」と語る。

 ただし、それと同時にトーナメント運営側としては「それだけにギャラリーにはいかに安全に、快適に観戦してもらうかという大きなテーマに、より神経を使うようになりました」と、喜ばしい半面での苦労も口にする。

 

 このブームの中心にいるのが、言うまでもなく04年から本格参戦した宮里藍である。彼女の活躍がツアーの様々な分野でマーケットの拡大を導いたのだ。

 なかでも、驚嘆すべきは平均10パーセントのテレビ視聴率だろう。この数字は、なんとプロ野球・巨人戦の05年のナイター年間平均視聴率10.2パーセント(ビデオリサーチ調べ、関東地区)に匹敵する。

「まったく想定外の驚くべき数字ですよ。どんな賛辞でも足りないくらい」と評するのは、元テレビ朝日プロデューサーの三好康之氏(テレテック専務)だ。

 同氏はまた、この数字獲得により業界関係者の間では、女子ツアーは優良な放送コンテンツとしての評価を固めつつあるという。そしてその結果、05年、06年と女子ゴルフ界にスポンサー企業の参入が相次いだ。

 そこでも宮里がリードしているのだが、注目すべきは、05年はライバルの横峯にも次々とスポンサーが名乗りを挙げたことだ。

 CM契約も含め、宮里がブリヂストンスポーツ、日本航空、サントリー、久光製薬(サロンパス)、明治製菓(他にもNTTドコモなど)と契約すれば、横峯さくらも各ライバル企業のSRI、全日空、コカ・コーラ、佐藤製薬(サロメチール)、ロッテ(ホカロン)などと契約した。

 これまで女子ツアーには無縁の企業も少なくない。そして、このうち久光製薬は05年から、明治製菓は06年からトーナメントを特別協賛することになった。

 ところで、彼女たちは確かに人気者だが、各スポンサーはそれが売上げ増に結びついているのだろうか。双方の契約先に効果の程を聞いた。

 まず、米ツアーでも宮里を05年同様に支えるというブリヂストンは「明らかに藍ちゃん効果を実感しています」(嶋崎平人広報室長)と語る。

 嶋崎氏によれば、宮里が使用している各用具とも、同社の予想を上回る好調な販売を持続。05年は業界全体の売り上げが5パーセント程度の減少をした中、同社は増収を記録した。

 また、先日実施したパラディーゾ(ウェア)の来春夏用の小売店向け内見会では、昨年の2倍の受注を獲得したという。05年の宮里の活躍に伴い、顧客からそれだけ多くの注文や問い合わせが寄せられたからだろうと推測する。

 一方のSRIも、05年は明らかな「さくらちゃん効果」を認めている。横峯使用のゼクシオのウッド、アイアンは、想定以上の売り上げを長期持続しているそうだ。

 また、4月に実施した「初優勝、おめでとうキャンペーン」は、販売に十分な手ごたえがあったという。

「それでプロモーションの軸足を女子ツアーに移したということはありませんが、05年から新たに女子ツアーにもツアーバスを派遣するようになりました」(広報部・藤田英明氏)

 

 活発化したのは、もちろんツアーを取り巻くスポンサー関係だけではない。ツアーそのものも白熱した。

 とりわけ不動と宮里の賞金女王争いは、ツアーの最終盤までファンの目を釘付けにした。結果は、不動が6年連続のマネークイーンに輝いたが、05年は不動と宮里が東西の両横綱で、その下に大山志保、横峯、藤井かすみ、米山みどり、表純子といった複数回優勝の大関・関脇クラスが控えるといった、堅固なピラミッド型の勢力図が見える。

 実際、05年の獲得賞金額を見ると、不動と宮里の二人だけでツアー全体の約10パーセントを奪取。前述のマルチウィナー7人で、同約23パーセントに当たる5億円余もの賞金をシェアしている。

 相撲界では、横綱、大関が強ければ場所は盛り上がるといわれるが、女子ツアーも実力者が上位にどっしりと構え、ほぼ毎試合、彼女たちが優勝争いを演じた。

 それゆえファンも、毎試合、安心して観戦できたのだろう。残念ながら、最近の男子ツアーには見られない構図といえる。

 この活性化を惹起したのも、やはり宮里の躍進なのだろう。それにより女王・不動が一層奮起し、ライバルの横峯が「藍ちゃんができるなら、私だって」と、シーズン前から獲得賞金1億円を目指し、さらに多くの同世代選手の登場をうながした。

 その結果、06年のシード選手は昨季から40パーセントが入れ替わるという下克上の大激戦となり、その平均年齢は30歳を切る29.53歳と若返った

 そこで06年の展望だが、何といっても、宮里の米ツアー転出という大きなマイナス要素が控えている。

 この事態に樋口会長は、「確かに宮里藍の不在は大きいが、出ていない試合も、視聴率など今まで以上の数字が取れている。良い試合をすればファンも注目してくれるのではないか」と不安は口にしていない。

 また、「日曜日の午後には女子ツアーをテレビ観戦するという習慣のようなものが定着したのでしょうか。番組ソフトとしての価値も上がってきているので、このブームを契機にトーナメントの付加価値をさらに高めて行きたいと思います」(前出・加々美氏)と関係者の前向きな発言も聞かれる。

 しかし、その一方で前出・三好氏は
「10パーセントの視聴習慣が定着するというのは、業界的にはものすごいこと。まだ、そこまでは至っていないと思います。06年も、10パーセント前後の数字を安定的に取るには、米ツアー参戦で藍ちゃんがいないシーズン序盤にどれだけ見ごたえのあるゲームができるかにかかってくるでしょう。
 本当に魅力あるコンテンツとして確立するには、序盤が勝負で、06年はその見極めの年になるでしょうね」
 として、好調なればこそより慎重にと語る。

 さて、06年も「藍ちゃん効果」がどう引き継がれていくのかに注目だ。

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