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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/16号
2005/8/13更新
シニアを含め「全英」オープンで7勝目
トム・ワトソンが明かすリンクス攻略法

 アメリカのスポーツ界でいま最大の話題は、米国人のランス・アームストロングが自転車競技のツール・ド・フランスで前人未到の7連覇を達成したことだろう。その話のために影が薄れ気味とはいえ、ゴルフ界でも同じ「7」という数字にちなむ記録が話題に上っている。それは、トム・ワトソンの全英シニアオープンでの優勝だ。

83年、ロイヤルバークデールで
優勝した当時のワトソン

 この勝利は、ワトソンにとってチャンピオンズツアー7勝目。しかも全英シニアは2勝目となるが、全英オープンの5勝を含めれば、全英という名前が付く大会で7勝目ということになる。

 全英オープンの最多勝利記録では、ハリー・バードンの6回(1896年から1914年の間に作られたもの)というのがあるが、今回のワトソンの7回というのは、シニア大会を含むとはいえ史上最多数になる計算だ。ワトソンが「シーサイド・リンクスの王者」と言われるのも、当然のことだろう。

 そういえば、ワトソンの全英オープンでの最初の2勝が1975年のカーヌスティと77年のターンベリーで、偶然にも7という数字がついて回る。

 英国のリンクスコースについてワトソンは、「79年まではリンクスコースというのはあまり好きじゃなかったんだ。知っての通り私はアメリカン・ゴルファーでね。高い弾道のボールを打っていて、低いボールはそれほど正確には打てなかったんだよ。ところが79年にロイヤルリザムでプレーしたときのことだ。あの試合では成績が悪くて、特に運も悪かった。ボールがバウンドしてあちこちに行ってね。それでリンクスでは、いいバウンドをする時もあれば、逆に悪いバウンドをする時もあるんだ、と自分に言い聞かせることにしたんだ。その後、81年にスコットランド各地をゴルフ旅行した時、リンクスではすべてを受け入れなければいけないし、それが段々出来るようになって、リンクスゴルフに開眼したんだ」と語っている。

 バッドラックを受け入れられるようになる、というのは、いつでも落ち着いてプレー出来るということ。「高みから自分のプレーを見下ろすように客観的にプレーしていけば、チャンスにも恵まれる。けれど感情に流されると、悪くなった時に取り返しがつかなくなる。リンクスではスコアを崩すのが早いからね」

 さらにリンクスを制するコツは、自分の飛距離を正確に把握することだとも言う。「私はいつもギリギリのところを狙って打っている。調子がいい時には、そのギリギリの限界というのが、もっとシビアに狭まってゆくんだけれどね」

 例えば今年の全英シニアが開催されたロイヤル・アバディーンを例にとって、ワトソンはこう解説する。

「12番のパー5で、2日目に残り240ヤードのセカンドを7番アイアンで打ったが、3日目は6番で軽く打ち、最終日は6番のフルスウィングだった。風などを読んで、とにかくリンクスでは正確な距離を打たなくてはいけないんだ。というのも、12番グリーンの手前約10ヤードのところに青々としたマウンドがあってね。最終日は、完璧にこのマウンドの右側に打ったんだ。それでグリーンの右側に乗ってゆくはずだったけれど、グリーンをショートして止まってしまった。結果的には、そこから難しいチップショットで、やっとパーを拾ったが、もしあのセカンドショットが同じラインで1.5ヤード短ければ、マウンドに当たってピンのすぐ近くまで寄っていたはず。でも、それに落胆しないで、受け入れることがリンクスゴルフを制するコツだと思う」

 ここ最近、チャンピオンズツアーでも2年近く勝てなかった55歳のワトソン。

「リンクスのプレーの仕方を思い出した」と語り、さらには「今回、パッティングでも学ぶところがあった。それに第3ラウンドのゴルフは、今年最高のラウンドだった」と言うだけに、これで完全復活もありそうだ。チャンピオンズツアー8勝目の朗報が聞かれるのは近いかもしれない。

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