週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　107人という多くの死者を出した4月25日のJR福知山線の脱線事故から、はや1カ月が過ぎようとしている。JR西日本広報課では「6月中に運転再開できるかどうか分からない」（5月18日時点）と話しており、尼崎～宝塚間が復旧するメドはいまだ立っていない。そんな状況の中、兵庫県内で開催されるゴルフトーナメントの時期が近づいてきた。

6月開催の男女トーナメント会場

　5月26日からは男子の三菱ダイヤモンドカップが東広野GCで、6月9日からは女子のサントリーレディスがジャパンメモリアルGCで、同16日からは男子のマンダムルシードよみうりオープンがよみうりCCで、それぞれ開催される。各大会でギャラリーの移動手段がきっちり確保されるのかどうか、関係者の間では不安の声も聞かれる。

　3つのトーナメントの中で、唯一JR福知山線の沿線ではないのが、三菱ダイヤモンドカップ。大会当日は、北神急行・谷上駅から送迎バスを運行するプランに変わりなく、大阪の中心地・梅田から阪急、阪神の私鉄、JR東海道線のいずれかを利用して三宮駅で乗り換えれば、約1時間でコースに着ける計算だ。

　車で観戦するファンのために予選ラウンドは1000台、決勝ラウンドは2800台のギャラリー駐車場も確保している。関係者も「福知山線事故の影響は、あまりないのではないでしょうか」と話している。

　一方、サントリーレディスは福知山線の新三田駅と、神鉄ウッディタウン中央駅の両方から、送迎バスを運行する予定。運営するダンロップスポーツエンタープライズ担当者は「去年は、新三田駅からの送迎バス利用者が、ウッディタウン中央駅の利用者の約2倍ほど多かった」と振り返る。

　通常、大阪～新三田駅までJRの快速で42分。だが、脱線事故のため、大阪・梅田から新三田駅に行く場合、今年は途中の宝塚駅まで阪急電車を利用し、そこからJRに乗り換えなければならなくなった。

　その所要時間は、約1時間。乗り換えの面倒な手間が増え、時間も余計に掛かるため、ギャラリーの減少が心配される。

　宮里藍の連覇がかかり注目を集める大会だけに、関係者は神戸からの移動案内を強化するなど対策を講じているが、仮に大阪方面のギャラリーが、梅田から神戸三宮経由でウッディタウン中央駅に行こうとすれば、約1時間30分かかってしまう。

　昨年までは、ギャラリー専用駐車場は存在しなかったが「駐車場確保も視野に入れていく」（担当者）と、車で観戦に訪れるギャラリーに対応する可能性を示した。

　駐車場が確保できるとなれば、大阪市内から車で約1時間で到着できるだけに、ファンもうれしい限り。とはいえ現状は未定の段階で「福知山線の運転再開のメドが立っていないため、予想ギャラリー数の計算も立ってないんです」と関係者は頭を悩ませている。

　1979年（昭和54）から兵庫・よみうりCCで行われ、関西のゴルフファンにも親しまれてきたマンダムルシードよみうりオープンも、今年は脱線事故の影響を少なからず受けそうだ。

　現時点では、例年通りJR福知山線西宮名塩駅からのギャラリーバス運行を予定している。宝塚駅から、西宮名塩駅まではわずか2駅で5分。阪急からの乗り換えの面倒を考えれば、宝塚駅からの送迎バス運行を考えても良さそうなのだが、そう簡単にはいかない。

「宝塚駅から、ゴルフ場への道は幹線道路で渋滞がよく起こるんです。だから、送迎バスの運行も警察当局からの許可が下りない可能性が強い」とよみうりCC関係者。ただ、ギャラリー用の駐車場は例年通り設置。車なら大阪市内から1時間以内での到着が可能だ。

　関西のゴルファーのゴルフ場への移動手段は、ほとんどが車。上記3カ所のゴルフ場も、東広野GCが山陽道三木東ICから約10分、ジャパンメモリアルGCが舞鶴道三田西ICから約10分、よみうりCCが中国道宝塚ICから約25分と、すべて主要高速道路の沿線。

　ただ、トーナメント観戦となれば、周辺道路の渋滞や、駐車場の問題もあり、主催者は電車の利用を勧めているのが現実だ。

　脱線事故が起こった今年、各大会がギャラリーの移動手段を今後どう確保していくのか。その配慮が観客数の増減を大きく左右しそうだ。