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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/29
2005/3/25更新
フォード選手権で世界1位に返り咲いたタイガー
エルスも同週優勝で、うかうかしてられない事情
 タイガー・ウッズが、やっと世界ナンバーワンに返り咲いた。先のフォード選手権で、P・ミケルソンとの死闘を制し27週目182日ぶりに、ワールドランキングのトップを奪還した。とはいえ、今後の試合結果次第ではシンの再逆転が可能な上、E・エルスも今年は本気で世界1位の座を狙っており、タイガーもうかうかしてはいられない。


「完全復活」の答えはマスターズで

 41歳のV・シンが、いずれトップの座を明け渡すことになることは誰しも予想していたが、わずか26週間、オフシーズンの期間を考慮すれば、いわば「100日天下」で終わったのは、意外といえるのかもしれない。しかしアメリカでは、タイガーのトップ返り咲きよりも、むしろタイガーの完全復活を証明する戦いぶりが注目されている。

 フォード選手権はアメリカで最も人気のある2人のプロの優勝争いとあって、試合そのものがメジャー並の注目を集めた。視聴率は昨年の全英オープン、全米プロを超え、最高時で7.7パーセントをマーク。そうした中で、タイガーが見せた、しびれるようなショットがファンを魅了し続けた。

 特に圧巻は最終日の12番、ツアーでは最も長い603ヤードのパー5で、セカンドショットをスプーンで約290ヤードも飛ばし、イーグルを決めている。このスプーンはナイキのイグナイトT60(15度)で、これでタイガーはパター以外の全クラブを契約先のクラブで揃えたことになる。

 タイガーは昨秋の日本のダンロップフェニックス以来3勝しているが、ややショットの安定度に欠け、完全復活とはいえない状態だった。しかしハンク・ヘイニーという新たなコーチを得て、周囲の疑念を一気に吹き飛ばしてしまった。

 事実、タイガーの絶頂期だった2000年のドライバーの平均飛距離は298ヤードで、パーオン率は75.2パーセントだったが、今年はフォード選手権までで平均306.5ヤード、パーオン率は77パーセントと、タイガースラムを達成した時よりも良くなっている。

 タイガーが「我々2人とも、本当にすばらしいゴルフをした」と語るように、ミケルソンもタイガーに喰らいついて、最終ホールの最後のパットまで勝敗が決まらないという死闘を見せている。これが4~5年前のことならタイガーの大逆転、ぶっちぎり優勝ということになっていたのだろうが、ミケルソンも負けず劣らずのプレーぶりを見せていた。

 そしてこの試合3位タイになったV・シンも、最終日はタイガーと同じ66のスコアを出している。つまりトッププレーヤー達の実力は確実に接近しており、かつてのような、ウッズの一人勝ちというようなパターンとは展開が変わってきている。

 同じ日に地球の裏側では、ドバイ・デザート・クラッシックで、エルスが最終ホール5メートル強のイーグルパットを沈めて優勝し、ワールドランキングのポイントを稼いでいる。この大会を前に「トッププレーヤー間の実力の差はほとんどない。自分も頂点を極めたいと思っている」と、普段は控えめなエルスにしては、強気のコメントを残している。

 実際、トップ3のワールドランキングのポイント差は、ほんのわずかしかない。フォード選手権後のワールドランキングでは、ウッズとシンの差がわずか0.48ポイントで、シンとエルスの差は0.57ポイント。フォード選手権でウッズが1.13ポイントを稼いでトップの座に返り咲いたことを考えれば、これがどれほどの僅差かが分かるだろう。タイガー自身は、「今季2勝で(メジャーを前に)いいスタートが切れた。ランキングの方は、勝利の結果についてくるもの」と大して気にしていない様子だが、今後プレーヤーズ選手権やマスターズといったポイントの大きな試合を控えて、タイガーの天下が安泰とはいきそうもない。

 ちなみに、ワールドランキングのトップにいる期間では、タイガーが今回の返り咲きで335週となり、これまでG・ノーマンが持っていた331週を引き離し始めている。しかし時代は、群雄割拠の戦国時代に入ったようで、米ツアーはこれからますます面白くなりそうだ。

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