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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/14
2004年更新
軽井沢、箱根、川奈… 気になるゴルフ場
52コースを有する西武グループの行き先
 国内47コース(海外5コース)を展開する業界最大手の西武グループ。だが、有価証券報告書の虚偽記載問題に端を発し、中核の西武鉄道(株)が東証上場廃止になるなど混迷を極めている。経営の抜本的見直しに着手し始めた同グループだが、ゴルフ場の整理も避けては通れない雲行きだ。

 11月22日、西武鉄道(株)の親会社となっている(株)コクドは、「西武グループ経営改革委員会」(太平洋セメント(株)相談役・諸井虔委員長)を設置。委員はみずほ銀行副頭取の後藤高志氏、元国土交通局長の高橋朋敬氏、弁護士の松嶋英樹氏、あずさ監査法人会長の岩本繁氏で、同日、都内で初会合を開いた。

 会合で改革委は、グループの総帥として君臨した堤義明氏のコクド株の放出、不採算のレジャー事業からの撤退など、抜本的なグループ再編を確認した。コクドの大野俊幸新社長も、会合後の記者会見で「堤氏の意に沿わないことも発言していく」との経営姿勢を明らかにしている。改革委はコクドの取締役会と社長の諮問機関だが、再編、再生にイニシアチブをとるものと見られている。今後の予定としては1月までに具体的な事業構築の提言を示し、年度内に順次着手していくとしている。

 さて、すでに明らかになってい方針は「脱・堤氏」とともに、「峻別と集中」をキーワードに事業ポートフォリオ(経営資源)を再編していこうというもの。それにあわせて事業を、鉄道や都市型ホテルを中心に収益が高く、沿線価値を高めるコア事業、収益は高いもののコア事業と関連の薄いものを準コア事業、それら以外の非コア事業に分類。準コアについては事業内容を精査し方向性を決め、非コア事業については独立採算制(スピンオフ)や売却による撤退も視野に入れている模様だ。

 当然のことながら国内外52コースも「峻別と集中」によって3つの事業に分類され、その多くは見直しが迫られることになりそう。特に北海道、東北のホテル事業、レジャー事業では年間30億円程度の営業赤字を出しているといわれ、撤退も噂されている。

 しかしながら金融問題に詳しい経済ジャーナリストは、もっと厳しい見方をする。

「グループ全体で有利子負債が約1兆2000億円。うち約3000億円がみずほ銀行の債権とされている。また上場廃止により株価の暴落でグループが受けた損失は約3000億円。さらに堤氏の持ち株比率を下げるために、西武鉄道株の購入を持ちかけた企業は約60社で、7000万株といわれ、取引企業に与えた損失が約300億円。ワコール、小田急電鉄、三菱電機、資生堂、ニッセイ同和損害保険、キューピー……と、買い戻し請求や売買の取り消しを求める動きも相次いでいる。それだけに不採算事業の撤退などといった生易しいものではなく、グループの看板でもあるゴルフ場の売却も十分に考えられる非常事態と言えるでしょう」

 西武グループの象徴といえば、なんといっても信州の軽井沢。先代の故・堤康次郎氏が手がけた日本を代表するリゾートで、ここには軽井沢72ゴルフ(東西南北4コース・計108ホール)と軽井沢プリンスホテルゴルフコース(18ホール)がある。もっとも軽井沢そのものが、『西武の街』といった様相。ホテルやゴルフ場に加え、分譲を手がけた別荘地、スキー場、スケート場、広大なアウトモールショッピングセンター。長野新幹線、軽井沢駅南口の土地の大半は西武グループの所有とさえいわれるほどだ。上場廃止問題が明るみになったのがオフシーズンの時期だったこともあり、地元は平静を装っているが、「リストラもやむなし。(売却した後の)新たなスポンサーが今まで通り、職場を確保してくれるかといった心配の声も早くも聞かれ始めている」(地元紙記者)という。

 ゴルフ場が集中しているのは箱根も同じだ。10月には、箱根千石原プリンスホテルを日産自動車に売却、西武グループがホテルを売却するのは初めてのことだ。隣接する大箱根カントリークラブは同グループの所有だが、「本格的資産売却の序章」(前出・経済ジャーナリスト)との見方もあり、続けて「内外の投資家が水面下で活発に動き始めている」とも指摘する。

 その中でも去就が注目されるのが、一昨年買収した川奈ホテル(ゴルフコース)だ。日本を代表するリゾートコースで、一度はプレーしてみたいコースとして、常にランキング上位にくる名門中の名門ゴルフ場。経営破綻した名門の救世主として登場したものの、グループ本体の置かれている状況を考えれば、再び経営交代が起きる可能性も否定できないだろう。

「グループにとって経営的に収支のとれる人気コースは、買収する側にとって垂涎の的だということです。またそれを売却することは、グループの負債軽減にもつながる。赤字コースの処分を急げば、当然、投資家は人気コースとのセットでの買収を条件にするはずです」(前出・経済ジャーナリスト)

 西武王国の聖域なきリストラが始まることは、間違いなさそうである。

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