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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/7
2004年更新
日経新聞が手放した木更津GCが
突然外資系に移るまでの裏事情
 日本経済新聞社系列の企業が経営するゴルフ場・木更津ゴルフクラブ(千葉)で、預託金償還問題を巡って、経営会社と預託金証書の発行会社が、互いに互いの会社更生法を申請していた問題で、日本経済新聞社に代わってゴールドマン・サックス(以下、GS)がスポンサーに就任するというどんでん返しが起きた。

 この問題は、本誌でも過去3回に亘って報じてきたが、今回のスポンサー交代で、日経は同GCとは名実ともに縁が切れることになる。

 同GCの経営会社・(株)木更津ゴルフ倶楽部(以下、KGC)は、日経グループ70パーセント、地主の内房産業(株)(以下、内房)30パーセントの会社で、歴代社長はすべて日経出身者だが、総額77億円の預託金証券の発行会社も、会員から集めた預託金で建てたクラブハウスの名義も、いずれもKGCではなく、日経の資本が一切入っていない地主の内房。内房は、代表・山口一族個人名義の土地、及びその他の地主の土地もとりまとめて一括してKGCに賃貸する大家、逆にKGCは店子の立場だった。

 つまり、ゴルフ場経営で得るキャッシュはすべてKGCに入る一方、内房はコース施設の名義とともに巨額の負債を抱える、異例の契約形態になっていたのだ。

 一連の騒動の発端は預託金の償還問題。当初は個人資産を売却して償還原資を作っていた内房の山口社長が遂にギブアップ、KGCと話し合いを続けていた最中に、KGCが内房の破産を申立て、両者の対立は決定的に。昨年秋から年末にかけ、内房、KGC双方が相手方の会社更生法を申請する事態に発展していた。

 だが、今年3月には両社に会社更生手続きの開始決定が下り、4月には日経がスポンサーに就任、2億円のディップファイナンスも提供し、再建に向けて動き出すかに見えた。

 しかし、それから約半年間が過ぎた11月1日、内房、KGC両社の管財人・中澤裕子弁護士が、突然日経からGSへのスポンサー変更を発表。理由は地主である内房及び山口社長一族が、施設の賃貸借契約の交渉テーブルに付かず、交渉が決裂したため。コースは赤字経営が続き、スポンサーを付けなければ立ち行かない状態でもあるという。

 しかし11月8日付で内房の山口社長が、会員向に出した文書には、そもそもコトの発端はKGCが内房の破産申立てをしたことにあるのに、中澤管財人がその部分を報告書に書かない上に、事業計画も明らかにしない。赤字経営に陥らせた日経サイドの経営陣を、そのまま留任させているのだから、どうやってキャッシュフローを健全化させる気なのかを示してほしいと何度も要望したのに聞きいれられなかった、などなど、管財人に対する積もりに積もった不信感が赤裸々に綴られている。

 日経は「法的にはともかく、社会的、道義的責任は感じていたからこそここまで努力してきたが、このような結果になって非常に残念」(日経)だとコメント、これまで日経グループから派遣されていたスタッフは11月1日付けで全員引き上げたという。

 会社更生法は100パーセント減資が原則なので、日経グループからKGCへの出資金は、いずれゼロになり、ディップファイナンスは優先債権だから全額返済されるため、日経はKGCと名実ともに縁が切れる。

「11月11日に開催された会員向説明会でも、スポンサー決定に至るプロセスが不透明との声も出たが、中澤管財人は主だったところは全部打診したが、受けてくれたのはGSだけだった、と言っていた。でもGSなら地主とうまく合意できる保証なんかない」と不安を口にする会員も。

「本来再建可能なコースなら、収入の範囲内でコース運営コストをまかなうのが経営者たる管財人の任務。18Hのこのコースで、2億円ものディップファイナンスがなぜ半年で底をついてしまうのか。そもそも預託金以外に負債がないなら、預託金をカットするだけで自主再建出来る。これで破産にでもなって割を食うのは会員。自主再建の可否は、会員がいかに今回の問題を真剣に考え、結束できるかどうかにかかっている」(ゴルフ場問題に詳しい弁護士)。

 この問題、決着を見るまでには、まだ当分時間がかかりそうだ。

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