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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 11/9
2004年更新
日本人は「冬ソナ」ツアー、韓国人は日本でゴルフ
九州に続いて福島でも韓国系資本がコース買収
01年4月に破産した(株)日本ロイヤルクラブで、このほど系列3コースを韓国資本が取得、運営することが決まった。「冬ソナ」ブームで日本から韓国への旅行者が急増する一方、新会社は韓国人ゴルファーの誘致を、経営戦略の大きな目玉に挙げている。

 日本ロイヤルクラブは、もともと『福島の天皇』と呼ばれた、故小針歴二氏率いる福島交通グループの1社。福島県内で大玉VIPロイヤルCC(安達郡大玉村)、勿来VIPロイヤルCC(いわき市)、那須ロイヤルCC(西白河郡西郷村)の3コースを展開してきた。だがバブル期に手がけた高級リゾートホテル、スキー場、結婚式場などの多角経営が裏目となり、工事代金など約364億円の債権を持つゼネコンの(株)ハザマ(旧間組)が、00年7月、破産を申し立てた。

 その後、会社側は民事再生法申請で対抗。しかし01年4月に民事再生の廃止決定がなされ、破産が確定している。負債総額は約1750億円で、うち預託金は会員約1万6000人から集めた約800億円。そののち、会員有志の間にゴルフ場買収の動きも見られたが、今年8月末に破産管財人と韓国資本との間で、売買の合意がなされた模様だ。

 ゴルフ場側、早乙女五郎破産管財人ともに、「まだ正式にコメントする立場にない」としているが、今月末に正式調印がなされる予定。3ゴルフ場の買収価格は約13億円とされている。

 ゴルフ場を取得、運営するのは韓国の食品会社・ヘチャンドルと、ゴルフ場経営などを手がける新天地リゾートの2社が出資し新設する「大河」(社長・李潤秀新天地リゾート副社長)。約200人の従業員は再雇用され、また破産によって旧会員の権利は消滅しているが、新規募集やプレー料金などでの優遇策が講じられるという。いずれにせよ正式調印の後、10月末からは新会社に経営が移行、約3年の破産事件が決着した。

 さて、外資が跋扈する日本のゴルフ業界の中で、ここにきて韓国資本の進出も目立ってきた。今年6月には民事再生中の相武総合開発グループの仙台空港CCのスポンサーに、ソウルで不動産開発、家具の製造販売などを手がけるルートンが決定。昨年秋には本間ゴルフの持つ熊本の阿蘇高森GCが、本間ゴルフの韓国における独占販売代理店に売却された。また民事再生中の千葉・米原CC(現在米原GC)も、韓国資本のエイチ・ジェイの運営になっている。

 また、大分の城島後楽園CCは、韓国内のコースと提携。会員の相互利用サービスのほか、従業員の研修受け入れなども合意している。さらに栃木県大田原市は、今年2月、官民あげて韓国ゴルファーの誘客を行ったほか、千葉県や今回、日本ロイヤルの舞台となった福島県では、県が誘客アップを狙った韓国向けの広報活動も行ってきた。

 そんな中、昨年、宮崎CCには約2600人の韓国ゴルファーの集客があった。韓国と距離的にも近く、また冬も温暖な気候であることも要因だが、そこには韓国の空前のゴルフブームもある。というのは、パク・セリなどの活躍でゴルフ人口は急増したものの、韓国内にはコースが少なく、なかなか思うようにプレーできないというのが韓国人ゴルファーの悩みのタネ。

 そうした事情も踏まえ、9月には韓国のゴルフ用品販売の韓国産業洋行が九州を中心に、日本へのゴルフツアー専門の旅行会社を立ち上げ、滑り出しから人気も上々だという。

 実際、九州ばかりではなく、集客に悩む北関東や東北のゴルフ場でも、ハングルで書かれたレストランメニューが登場するコースも目立ってきた。

 今回、日本ロイヤル3コースを取得した韓国資本だが、韓国ゴルファーの誘客は、その経営戦略の大きな柱だ。福島県をはじめ、地元市町村や観光協会なども歓迎の意向を示しており、今後は福島空港を利用したツアー客の受け入れを積極的に図り、同空港にソウルから直行便を就航させているアシアナ航空に、増便の要請を行っていく予定もあるという。

 02年、日韓共催のサッカーWカップの後、日本と韓国との距離は急速に近づいている。韓国内での日本語による映画、音楽が解禁され、なんといっても「冬ソナ」人気、「ヨン様人気」はその関係の変化を雄弁にも物語るものだ。そうした時代変化の中で、ゴルフ界もまた韓国との距離を急速に近づけている。日韓両国の相互理解のためにも、韓国資本となる日本ロイヤル3コースの新たな経営戦略には、今後も注目していきたい。

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