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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/2
2004年更新
負債総額1679億円、会員数2万8千人
自主再建中だった信和グループが民事再生へ
 専業大手の一つ・信和ゴルフグループが、あのコワモテRCC(整理回収機構)から、債権放棄してもらえたゴルフ場第一号となって2年あまり。法的手続きを使わない自主再建を目指していたが、結局は民事再生で再建を図ることになった。

 10月13日付で大阪地裁に民事再生手続の開始申立てを行ったのは、信和ゴルフ(株)、(株)ゴールデンバレーゴルフ倶楽部、(株)チェリーヒルズゴルフクラブ、(株)滋賀カントリー倶楽部、(株)ジャパンクラシックカントリー倶楽部の5社。

 負債総額は5社で1679億円、うち約2万8000人の会員から預かっている預託金は1178億円で、残る501億円のうち8割強がRCC分だ。今年8月に一足先に民事再生の申立をしていた(株)パインレークゴルフクラブの分も含めると、グループ6社の負債総額は1740億円、会員数は約2万9000人で、預託金債務は1239億円になる。

 同グループは、プロのトーナメントの開催コースを抱え、運営面でも定評がある一方で、海外でのリゾート開発などで膨らんだ金融機関からの借金は800億円を超え、その上にメインバンクだった旧日債銀の破綻で、債権者として容赦なくゴルフ場経営会社に法的手続きを行っていたRCCが、最大債権者になってしまった。

 そんなRCCが、“債権放棄”という最も穏便な再建方針に合意したのは、ハワイ5コースの売却代金を借入金の返済に充て、残りは国内8コースの収益から毎年6億5000万円ずつ、12年間で総額78億円を返済し、国内のゴルフ場施設以外の担保不動産を売却、つまり、12年間で出来る限りの返済を行うことを約束したことに加え、この時点で國府光雄社長が個人資産を提供して1億円を返済していたためだった。

 この2年でハワイの5コースのうち、2コースが売れ、圧倒的な筆頭債権者・RCCへの返済はほぼ当初の計画通りに進んでいたが、預託金債権者の側から火の手が上がってしまった。

 まず第一弾が、今年4月のパインレークGCの会員による破産申立。この対抗措置として、会社側は今年8月に、(株)パインレークゴルフクラブの民事再生申立に踏み切ったが、今回の残る5社すべての申立も、「売却したハワイのコースの退会会員から今年8月に受けた破産申立が原因」(会社側申立代理人・浦田和栄弁護士)という。

 ハワイの会員については国内コースへの移管で対応したが、移管による継続を望まない会員が、退会手続きをとった上で預託金債権者として破産申立を行ったという。

 結果的に最大にして最も怖いRCCへの誠意のシワヨセが、会員に向かってしまったということだろう。

 ところで今後の見通しだが、有名コースが多い信和グループだけに、スポンサー候補に手を挙げたい企業は少なくないのだろうが、「スポンサーは募らず自主再建で行きたい」(浦田弁護士)という。

 スポンサーの要・不要は、負債総額のうち7割が預託金債務で、残り3割、金額にして約500億円をどうするかがポイントになる。預託金以外の債務が殆どなければ、会員に預託金を泣いてもらうことで、スポンサーなしの自主再建は可能だろうが、この約500億円の大半はRCC分。当然担保権付きなので、民事再生手続きの外で返済協定を結んで、競売手続きをとらない約束を取り付ける必要がある。それには、RCCに相応の返済をしなければコースを守れない。

「もともとハワイの売却代金プラス2年間で78億円の返済を実行すれば、残りは債務免除してもらえることでRCCとは合意していた前提があるので、自主再建の方向での調整は可能。詳細はこれから詰めるが、債権者に対するカット率は5割~7割の間くらいを見込んでいる」(浦田弁護士)というから、過去のゴルフ場の民事再生や更生法の例と比較すると、かなり高い返済率を見込んでいることになる。

 大手専業の中では唯一、法的手続きなしでの再建を目指していた同グループだが、法的手続きのフィルターを通ることで、再建手続きの透明度と公平性は高まるはずだ。

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