週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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「空白の10日間」とは、同社が東京地裁に特別清算を申し立てた8月23日から、組合に連絡を入れた9月3日までの間を指す。組合では3日から同社経営のレイクウッドGC、平塚富士見CCなど4コースの会員権を取引停止としたが、8月27日に特別清算の開始決定が出た後も含め、この間、市場では流通していた。その会員権の保全を求めるとともに、それ以前に市場で売買されながらも名義変更手続き中の会員権も約60口あり、この迅速な名義書換も申し入れている。

　というのも特別清算手続きの中で、譲渡承認がなされていない以上、いかに市場で購入したとはいえ、原則、債権者である会員とは認められない。そのため組合加盟の会員権業者への連絡、新聞報道のあった3日以降、不安になった購入者から数多くの問い合わせがあったという。

「会員権市場が回復途上にある中、今回の有力ゴルフ場の破たんは大変残念。だがそれ以上に、会社の特別清算が判明したのが申し立てから10日後と、過去に例を見ない対応により、その間に数件の売買がなされるなど新たな被害者が出ている。空白の10日間は誠に遺憾。名義書換申請中の会員権の早急な譲渡承認とあわせ、被害者の会員権の保全を申し入れたものです」（大塚理事長）

　もっともゴルフ場の経営破たんについて、ゴルフ場側には組合に連絡する義務はない。ただ、「会員権は市場に流通しているわけですから、混乱を防ぐため連絡をしてくるゴルフ場会社も少なくありません。マスコミ報道や信用調査機関からの情報で初めて経営破たんが明るみになるケースも多いのですが、今回はそうした対応もなかったのか、まったく情報も入りませんでした。開始決定の出た当日に、一切の説明もないどころか、名義書換に必要な書類をゴルフ場に送ってもらったという組合員もいるほどです。レイクウッド、平塚富士見と、社会的にも会員権相場にも影響のあるゴルフ場だけに、迅速な対応をして頂きたかった」（同組合事務局）

　この点について、湘南観光開発の特別清算の申請代理人である小竹治弁護士は、「当初、特別清算の開始決定を9月1日と想定していました。その上で翌2日に会員への通知の発送、それを終えて3日に組合への連絡という日程で進めてきました。ところが、予定より早い8月27日に開始決定が出たのですが、約4000人も会員がおり、また土日を挟んだ日程もあり、早めることができなかった。組合の皆様にご迷惑をかけたことは確かですが、会員よりも先に組合やマスコミに情報提供するわけにはいきませんし、そうなることでさらに大きな混乱を引き起こすことにもつながりかねません。そうした判断から、当初の日程通りに進めたもので、遅れたわけではありません」と説明する。

　さて、特別清算を用いた再建スキームとなる協定案の内容については、前号で詳しく説明した。解散する湘南観光開発は、日本土地建物（株）ら複数の「日本を代表する企業」（小竹弁護士）が出資する新会社（レイクウッドコーポレーション（株））に営業譲渡。会員は預託金をカットされるが、カット後の預託金を再預託することで、新会社は今まで通りの会員の権利を引き継ぐといった内容だ。

　しかしながら「空白の10日間」を含め、まだ譲渡承認されていない名義書換中の会員権については、どのような扱いになるのか？ 前述のように法的整理の中で債権者と認められるのは、譲渡承認がなされていない以上、会員権を売却してしまった元の所有者（譲渡人）になる。この点について小竹弁護士は、「名義書換中の方や、この期間に購入された方についても、現在、会員と同等の権利が守られるよう裁判所と協議を進めている。すでに終えている会員説明会でも説明しており、理解して頂けると思ってます」と話す。

　会員権は市場で流通しており、特別清算に限らず民事再生などの法的整理の申請があると混乱を引き起こす可能性が高い。義務がないとはいえ、組合への連絡も含め、なんらかのシステムは必要なようだ。