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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/14
2004年更新
ゴルフ場事業協会、損益通算廃止に「NO」
868コース、4万5000人の反対署名集める
 ゴルフ場の事業者団体である日本ゴルフ場事業協会(NGK・森川幸美事務局長)は、このほど全国で866コース、一般ゴルファー4万4990人から損益通算廃止の所得税法改正反対署名を集めたと発表した。

 この反対署名運動は、今年3月1日付の読売新聞が「来年からゴルフ会員権をぜいたく品と見なし、損益通算の対象から廃止する」との財務省の所得税法の改正方針を報じたことを受け、同協会が急きょ開始したもの。

 会員権を売却して損失が出た場合、その年の所得と合算して申告でき、税金の還付を受けられるという損益通算の制度が廃止される前に、会員権売却が殺到し相場が下落する恐れ、預託金償還請求の増加によりゴルフ場経営の窮状を招く、さらにゴルフそのものが「ぜいたく」との認識の是正などを理由に、全国約2400のゴルフ場に呼びかけ、10万人規模の署名を目指していた。

 集められた署名はゴルフ場の数にして約3分の1、ゴルファーにして約半数にとどまったが、「短期間でこれだけの署名が集まったことに満足すると同時に、業界やゴルファーの危機感を改めて感じさせられた。今後も損益通算存続を目指し、業界団体に働きかけ活動を続けていく」(NGK事務局)としている。

 とりあえず、損益通算の存続を表明している自民党のゴルフ振興議員連盟(ゴ議連)に報告するとともに、今後は谷垣禎一財務大臣に反対署名を提出する方針だ。また、ゴ議連には自民党税制調査会のメンバーも多いことから、10月から始まる同税調で存続決定の決議を求めていく。

 しかしながら、ゴルフ場利用税廃止問題でもそうだが、全国的な署名活動を展開しても、なかなかその主張が100パーセント認められることがないのも現実だ。また、昨年の所得税法改正で、土地取引による譲渡損失が損益通算の対象から外れたという事実もある。

 この点について、ゴルフ会員権の税務問題に詳しい飯泉清公認会計士は、「税務の現場レベルでは、損益通算の対象から外れるのは、まずゴルフ会員権を廃止した後で土地、と思われていた。それが昨年、すんなりと先に土地が損益通算の対象から外れ驚かされたものだ。ゴルフ会員権がぜいたく品であるかどうかの議論は別として、あらゆる増税がなされている時代に、ゴルフ会員権の譲渡損失が節税の対象となり続けることには無理があるとの見方も多い。大蔵省時代から再三、ゴルフ会員権を対象から外そうと試みてきた財務省だけに、今回こそ本気で実現させるのではないか」と見ている。

 さて結論は、今後、自民党税調での議論を経て、年末にかけての政府、与党間の折衝を経て出されることになる。これにNGKが中心になって行った反対署名運動や、またゴ議連の意向がどれだけ反映されるか、といったところが焦点になる。

 ただし政府案通りに順当に進めば、「来年1月に閣議決定、3月の通常国会に提出され法制化されることになるはず」(前出・飯泉氏)

 昨年、土地の損益通算を廃止した所得税法改正も、この日程で行われている。しかし成立は3月でも「この種の法律は施行時期を1月1日に遡るため、ゴルフ会員権の譲渡損失が損益通算の対象として現行法で認められるのは、今年12月31日までに売却した人になります」(前出・飯泉氏)

 さて、今後の進展は未だ不透明な部分はあるが、損益通算が廃止されれば、会員権相場にはどのような影響が考えられるのか? これについて複数の会員権業者に問い合わせたところ「一時的とはいえ、売り注文の増加による会員権相場の下落は、昨年6月から順調に値を上げてきた会員権相場の信用を再び失う恐れがある」との危機感がある一方、「景気回復による企業の業績の好転と、個人会員による購買意欲が高まっており、一時的な混乱はあるにせよ、大きな影響はないのではないか」との楽観論も多い。

 また、一部業者の中には「売り注文の増加で相場が下落するとの見方もあるが、このところの上昇相場は、とくに人気銘柄の売り物件が僅少であるため。むしろ損益通算廃止によって、売り物件が市場に出て取引が活発になれば、上昇相場をさらに加速させる可能性もある」として、この年末に向けての時期を千載一遇のビジネスチャンスとしてとらえている業者もいるほどだ。

 このように、損益通算の廃止を睨み、会員権業者の読みも様々だ。もし仮に、損益通算廃止が現実のものになるとしたら、残された期間はあと4カ月。この機会に、手持ちの会員権を売却してしまおうかどうか迷っている人もそうだが、今、会員権購入を検討している人にとっても、年末までの相場の動きから目が離せなくなりそうだ。

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