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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/14
2004年更新
全米アマ優勝者のライアン・ムーアは
アマ版“年間グランドスラム”達成の超大物
 オリンピックの陰に隠れて、日本ではあまり注目されなかったが、先の全米アマ選手権では日本から14歳の伊藤涼太が同大会史上最年少出場を果たし、見事予選ラウンドを通過、マッチプレーに進んだ。惜しくも1回戦で敗れたものの世界のトップ64に入ったわけで、快挙と言っても過言ではないだろう。そして、過酷なマッチプレーを勝ち抜き、“ナショナルデビュー”を果たしたのは、アメリカ期待の大型新人だ。

 その選手はライアン・ムーア(21)。正確には新人デビューとは言えないのかもしれないが、アマチュア最大のイベントである全米アマで優勝したことで、彼の名前が全米に止まらず、世界のゴルフ界に浸透したことは間違いない。

 なにしろ、今年に入って5月に全米学生選手権に優勝、その勢いに乗って、ウエスタンアマ、全米パブリックリンクスと、アマチュア大会のビッグタイトルを総ナメ。今回の全米アマの優勝が決まった瞬間、ギャラリーの中から“年間クランドスラム達成”なんて声も飛び交ったほどだ。

 アメリカのアマチュア界では、パブリックリンクスと全米アマの2試合が、とくに2大トーナメントとして知られているが、この2試合を同じ年に制したのは史上初めてのこと。USGA(米国ゴルフ協会)が主催する大会に、同じ年に2勝するというのも、ムーアで史上4人目の快挙となる(1916年にチック・エバンスが全米アマと全米オープン、1930年にボビー・ジョーンズが全米アマと、全米オープン、1983年にジェイ・シーゲルが全米アマとミッドアマ)。

 本人に言わせると「いいプレーをしよう、安定したプレーをしようと考えていただけで、結果的に、すべてでトップになれたに過ぎない。年間グランドスラムと呼べるるかどうかはわからないけど、そう呼んでくれるのは嬉しいよ」と、その余裕の受け答えも、すでにトッププロ並みだ。

 今年の全米アマは、ニューヨークのウィングドフット(ストロークプレーではイースト・ウエストの両コースが使用され、本選のマッチプレーではでウエストコースを使用)で開催されたが、ここは97年の全米プロで、デービス・ラブIIIが優勝したコース(ウエストコース)。そのときは、アンダーパーでラウンドしたプレーヤーがわずか4人で、4日間の平均ストローク数は73.12だったという難コース。もちろん、コースセッティングの難易度は異なり一概に比較はできないものの、97年当時は6987ヤードでプレーされていたが、その後改造されて、今回の全米アマでは7266ヤードと、アメリカのアマチュアの試合としては、過去最長のヤーデージで、プレーされていたのだ。

 その難コースを、ムーアは予選ラウンドでは、イープンパーの70でラウンドして(前日のイーストコースでは1アンダーの69)、メダリストとなっている。しかも、ムーアは「練習ラウンドができず、ぶっつけ本番だった」とか。

 また、決勝の36ホールマッチプレーでは、34ホール目で19歳のルーク・リストとイーブンに追いつき、最終の35、36ホール目に連続バーディでの2アップの勝利。その全米アマでの勝ちパターンも、かつてのタイガー・ウッズのそれを彷彿させるものだった。

 ネバダ州ラスベガス大学4年生のムーア、今回の勝利で、来年の全米オープンとマスターズの招待を確定させているが、タイガーのように、それを待たずにプロ転向する可能性も十分にありそうだ。

 01年のパブリックリンクスでも優勝し、翌年のマスターズと全米オープンに出場しているが、そのマスターズでは45位タイ、全米オープンでは予選落ち。プロの試合ではまだこれといった成績を残していないが、バランスの取れたプレーで、ここ1年で急速に力をつけ、アマチュア界のタイトルを総ナメした選手。それだけに、プロの試合で、どんな戦いぶりを見せてくれるか今から楽しみだ。

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