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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/3号
2004年更新
外資系が独壇場のゴルフ場買収だが、最近
目立つ国内企業による買収は加速するか?
 外資の独壇場だったゴルフ場の買収戦線で、このところ日本企業、それもゴルフ場専業以外の企業参入が目立つようになってきた。

 東証一部上場の商品先物取引会社・小林洋行が、民事再生手続き中の埴生CCの営業権を子会社を通じて取得、初のゴルフ場経営に乗り出したほか、お菓子製造のシャトレーゼは、3年前からゴルフ場取得を開始、今年4月の川鉄商事グループの小海リエックスCCの買収で4コースめになる。

 4年前に真名CC、北武蔵CCを相次いで取得して以来、買収よりは運営受託コースの増加に力を入れ、鳴りを潜めていたミサワリゾートも、東証マザーズ上場の不動産投資会社・リサ・パートナーズと共同で、クボタ系のオーセントGCのスポンサーの座を獲得した。

 ビル経営大手・森トラストグループの森インベストメント・トラストも、昨年暮れ、東ハト系のオークビレッヂGCを取得。コースの改修や営業戦略の見直しなどで、平成17年3月期決算では、対前年比2割増の6億円の売上げを見込んでいる。それにしても、ここへ来て日本企業による買収が増えてきたのはなぜなのか。

「法的整理の場合、債権者に最大の配当が行くよう努力するのが管財人の使命なので、結局は圧倒的に有利な金額を提示する外資にスポンサーの座は行きがちになる。金額はたしかに重要な要素ではあるが、金額以外の要素で外資に勝る部分も日本企業にはある」(ゴルフ場の倒産処理に詳しい弁護士)と言う。

「外資と張り合おうという意思はない。正直、金額ではかなわないことが多いので、いつまでに何コースといった目標は持たず、条件が合う話があれば買っていく方針なので、入札に参加した案件は他にもあるが、採算に合わずに諦めざるを得ない場合は結構ある」(森インベストメント・トラスト)。

 東京建物も「採算に合わない金額で取得することは考えておらず、培ったノウハウを活かせてなおかつ採算に合う話があれば買う」、ミサワリゾートも「あくまで運営受託が主体であり、受託の獲得目標は明確に持っているが、取得については基本的にファンドでやっていくし、組む相手もフレキシブルにと考えている。採算に合わない金額競争には参戦するつもりはない」と、いずれも量は追わない採算重視のスタンスを打ち出している。

 ここ数年、専業大手が相次いで倒産し、大きなロットを求める外資、とくにゴールドマン・サックス(以下、GS)と、ローン・スター(以下、LS)による熾烈なスポンサー争奪戦が展開されて来たので、そちらに目を奪われがちだったが、GS、LSともに80コース前後になってきたことで、量の追求に一服感が出てきた。これからは、まとめ買いをした外資から採算の悪いコースが売りに出されたり、固定資産の減損会計導入を控えた上場会社からも、系列コースが売りに出される可能性は高いと見られている。

「どんな立地、経営状態でも、年間3万人入場者のあるコースなら、必ず経営改善は図れる自信はある。外資に負けない経営ノウハウは十分にあると自負している」(ミサワリゾート)。

「外資に限らず、投資ファンドは基本的に5年、長くても10年程度で投資資金を回収して出資者に配当する義務がある。提示されてくる金額にも比較的短期間での投資スタンスが現れているように思う。しかし我々は長期での投資を前提に、たとえば将来的にクラブハウスの補修や建て替えも考慮した見通しで金額を出している。今後、そういった長期のスタンスを評価してもらえると、我々にも落札のチャンスは十分にあると思う」(森インベストメント・トラスト、森健社長)と、各社とも買収後のコース経営戦略で独自色を出そうとしているようだ。

「上場会社の系列コースが売りに出されるとなったら、売りに出す側のプライドも当然これまでの倒産コースとは違ってくる。母体が一部上場のクボタであったオーセントCCの会員への弁済率が5割と高率に設定されているのも会社のプライド、言い換えれば誠意の現れだろう。当然残された会員に対する配慮に関心が行ったことは間違いない」と見る声もある。

 一つの時代が終わり、新たな時代に突入した感のあるゴルフ場買収戦線。国内勢の動向が注目される。

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