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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/25号
2004年更新
アジアのツアーが、運営会社のトラブルで
機能停止、選手が自主的に新ツアーを旗揚げ
 アジアのツアーが大変なことになっている。ツアーの結果を見ようとホームページを開いた方がいたらお気づきだろうが、3月のカルテックスマスターズ以来、そのページがまったく更新されておらず、今日に至っているのだ。アジアのツアーに一体何が起こったのか?

 もともと各国のゴルフ協会主催の大会を集めたアジアンツアーと、オメガ、ダビドフ等を冠スポンサーにした新興のアジアPGAツアーが共存していた時代から、紆余曲折の末、93年に統一されたアジアのツアー。ラムラン・ハルン氏を会長の座に据え、アジアンPGAツアーとして動き出した。

 以来、欧州、豪州、そして日本の各ツアーとトーナメントを共催するなどしてグローバルな広がりを見せていた。また、世界6大ツアーを統括するインターナショナル・フェデレーション・オブ・PGAツアーズ(以下・フェデレーション)のメンバーとして、その競技はワールドランキング加算対象にもなり、選手の行き来も活発化。レベルアップして世界からも認められる存在になっていた。

 ところが、昨年になってツアーの運営を巡る問題が表面化。NPO(非営利団体)であるツアーと、その運営部門を担当するATL(Asian Tour Ltd.)との契約問題がこじれ、訴訟問題にまで発展し、ハルン氏ら上層部が身動きできなくなってしまい、ツアーの機能は停止せざるを得なかったのだ。

 発端は、ATLに出資する2社間の方針の違いと、ツアーの対応だ。この危機に立ち上がった選手を代表して、新ツアーの会長となったチ・ラ・ハン(ミャンマー)によれば、「アジアンPGAツアーは、これまでフェデレーションにも認められてきた。しかし、残念ながら最近になって(ATLに出資する)パラレルメディアグループとワールド・ゴルフ・グループの間に溝ができ、ツアーの進化を妨げることになったため、新ツアーを作らざるを得なかった」ということのようだ。

 そこで、かつて日本ツアーで戦っていたこともあるハン(ミャンマー)、リック・ギブソン(カナダ)、そしてアマンディープ・シン・ジョル(インド)、マーダン・ビン・ママット(シンガポール)ゲーリー・ノーキスト(米)の5人を中心に新団体アジアンツアーが旗揚げされた。

 これについて、同ツアーは新たに立ち上げたホームページ上で「03年12月、我々ツアープロは、自分たちがメンバーであるアジアンPGAツアーを離脱。新たに選手を代表するアジアンツアーという組織を作った。この行動は、選手の将来を保護し、アジアのトーナメントゴルフの実績を守るものである」と説明している。

 昨年末の話し合いを経て生まれた新ツアーは、前述の5選手を発起人として非営利団体として今年1月5日にシンガポールで発足。今シーズンはこちらの運営で行われており、現状は安定しているように見える。しかし、実は大きな問題が立ちはだかっている。

 最大の問題は、新ツアーがフェデレーションへの加盟をまだ認められていないこと。メジャーやWGCへの出場を左右するワールドランキングを司り、世界のゴルフ界をリードする同団体への参加は、ツアーとして存続し、発展するために必須のものだ。そのため、新ツアーは3月に米国で行われた会議に参加を求めて乗り込んだが、失敗に終わっている。

 というのも、その直前、旧ツアーの裁判の相手でもあるパラレルワールド社と、欧州ツアーが共同で“アジアン・シリーズ・ゴルフ・イベント”として数試合の開催を発表してしまったからだ。寝耳に水のこの出来事が響き、会議の席上、新ツアーは「アジアのツアーをコントロールできていない」と参加を却下されてしまったのだ。

 新ツアーは「現在はアジアンツアーという新しいツアーを根付かせることが大切な目的で、我々選手は団結している」(ハン会長)と宣言、これをないがしろにした欧州ツアーとパラレルワールド社に対して遺憾の意を表し、抗議している。

 同時に、トラブルの相談に乗り、新ツアーにスタッフを派遣していたはずの欧州ツアーの矛盾する動きに対しても不信感を募らせている。

「スコフィールド氏(欧州ツアー会長)は事情をわかっているはずなのになぜこんなことになったのか。是非、直接話して聞いてみたい」(同)と困惑しているが、どうすることもできずにいるのが現状だ。

 次のフェデレーション会議は7月の全英オープン前後に現地で開催される。今のところワールドランキングの加算はされているが、フェデレーション参加がいつまでも認められず、他に大きな試合が行われるとあっては先行きは不安定。いち早く現状を打破し、欧州ツアー、関連会社との調整をつけることが緊急課題となっている。

 ここ数年、日本ツアーとの対抗戦でも勝利するなど、実力、その規模ともに拡大しつつあるアジアのツアー。規模拡大につれての、こうしたお金絡みのトラブルが、その発展を阻害するのは大変残念なことだ。

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