ゴルフダイジェスト出版案内> BACK9
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/11・18号
2004年更新
これで7試合連続メジャーVなしのタイガー
元軍人の父ゆかりの基地で体験入隊の意図は
 タイガー・ウッズが、軍隊に体験入隊した。マスターズ終了直後の月曜日に、サウスカロライナ州のフォート・ブラッグ基地で、ユニフォームをもらい、火曜日から木曜日にかけて3日間の訓練をこなした模様だ。このところメジャー優勝から遠ざかっているウッズだが、何か心境の変化があったのか------。

 早朝に6キロのマラソンから始まり、実弾を打ったり、飛行機から2度のパラシュート降下など、実戦さながらの訓練を消化。実は、この体験入隊、3月中に決めたことで「フォート・ブラッグ基地の軍人たちと訓練をともに行うことで、父の足跡をたどることができるのは、名誉なこと」と語っていたウッズ。

 父親のアール氏が、かつてグリーンベレーの隊員で、ベトナム戦争に赴いたとき、その直前に訓練を受けたのが、このフォート・ブラッグ基地だったことから今回の体験入隊に繋がったのだ。

「父がどんなことをしていたか、知らなかったわけではないが、実際に体験してみて、灯りが燈ったかのように、よくわかった」(ウッズ)とか。

 3月のドバイ・デザートでプレーした際には、ペルシャ湾上で空母ジョージ・ワシントンを表敬訪問し、兵士たちに艦上でプレーを見せたり、クリニックをしたりと、このところ軍隊づいているウッズだが、「自分は、400ヤード先の小さなカップにボールを入れようとしているだけだが、彼らは自らの生命をかけている。それこそ本当の献身の行為だと思う。彼らは私たちの安全を守るために戦っているんだ」となにやら、微妙な発言までしているのだ。

 父が生粋の軍人で、単にウッズも右寄りの思想の持ち主というのなら、それも個人の自由だが、この発言が、マスターズの直後ということもあって、どうしても深読みしてしまう。

 つまり、金も名誉も手にした28歳のウッズが、以前ほど、ゴルフの試合に勝つことに意欲がなくなっているのではないか、という見方がある。その一方、今年のマスターズで、直近のメジャー7大会で勝利なし、という成績を振り返り、ここで命をかけて戦う人々と寝食をともにすることで、ゴルフに対する新たなモチベーションを作ろうとしているのではないか、という逆の見方もあるのだ。その2つの見方は、ウッズがスランプにあるのか、さらなる飛躍のための過渡期にあるのか、といった正反対の意見の違いを反映しているともいえる。

 表にあるように、ウッズは、02年の全英オープン以来メジャー勝利がない。スランプ派は、ちょうどこの時期に、コーチのブッチ・ハーモンとの距離を置き始めたことを指摘する。そして、昨年の全米プロでは、ウッズがプロになってからメジャーでは最悪の39位タイ、今年のマスターズでも同大会で過去最悪の22位タイという成績に終わるなど、深刻なスランプ説を唱える。

 しかし、その一方で楽観派の意見は、現在はスウィング改造中で本人も言うように「もう少しのところまで来ている」と主張する。実際、レギュラーのコーチではないが、M・オメーラのコーチでもあるハンク・ヘイニーと一緒にいる光景が何度も目撃されているのと、ウッズのスウィングがフラットになっていることから、スウィングをかなりいじっていいるのではないかと見られている。

 過去にもスウィングを改造し、その間10大会連続、メジャーに勝てなかったことがあるが(97年~99年)、その後、ひと回り大きくなって、4試合連続のメジャー制覇を達成した。もっとも、スランプと言っても「ウッズにすれば」という話で、現時点でも彼が世界NO.1であることには違いない。あの帝王J・二クラスも、ちょうどウッズの年齢の時(27~30歳)、12大会連続メジャーに勝てなかった時期がある。

 ただ単に、婚約して気持ち的に落ち着いてしまっただけなのか。あるいは、飛躍のためのスウィング改造だからなのか。メジャーに勝てないだけでこれだけ騒がれるのもスーパースターならではだろう。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト
ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です