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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/23号
2003年更新
中間法人制移行の大栄CCで、一部会員の
総会決議取消訴訟受け、異例のやり直し
 小誌既報の通り、中間法人の第1回社員総会決議の無効・取り消しを求める裁判が一部会員から起こされた大栄CC(千葉)で、11月30日、臨時社員総会が開催された。双方の意見は依然平行線のまま終わったが、今回の一件は、現在ゴルフ場再生のトレンドとなりつつある中間法人化の今後の在り方に一石を投じそうだ。

(株)大栄カントリー(稲見彰夫社長)が、親会社である(株)大日本土木の民事再生申請を受け、同法を申請したのは昨年7月のこと。再生計画は退会会員については、94パーセントカットで残る6パーセントについて10年分割返済。一方で、「有限中間法人大栄カントリー倶楽部」を設立。(株)大栄カントリーの全株式を1株1円で中間法人が譲り受け、会員は中間法人の社員になることで、間接ながら完全株主制に移行するという内容。同時に会員からは30万円の出資金を募り、大日本土木が持っていた総額2億7600万円の抵当権も買い取った。

 そうした準備もあり、再生計画は出席債権者の98.79パーセント、債権の89.14パーセントという圧倒的多数で可決された。それを受ける形で、5月には中間法人が設立、会員の90パーセント強が入会し、第1回社員総会が開かれた。

 ところが、このときの理事選任などの決議を巡り、経済評論家の若林照光氏ら4人が、「旧経営陣がそのまま理事に選任されるなど、その手続きが恣意的で不透明」とし、総会決議の無効・取り消しの裁判を千葉地裁に起こしたのは7月のこと。

「中間法人での再生という考えそのものはいいが、経営責任を取らずに稲見社長が理事に選任されるなど、手続き的に瑕疵があり、中間法人を使った一部の人間によるゴルフ場乗っ取りと思われても仕方ない」(若林氏)というのが原告側の主張だ。

 当然ながら会社側は、総会は適法と反論、訴訟の継続中に今回の臨時総会を開催、同じ13人の理事案を改めて決議した。

「中間法人として会員の皆さまと手を取り合って再出発を図ろうとしているときに、裁判するのは私どもとしても不本意。もちろん第1回総会は適法と考えるが、裁判の早期解決のため、臨時総会でそれを追認してもらう形を取った」(稲見氏)とする。結果、理事、監事の選任は、99パーセント近くの賛成で、第1回総会の決議内容が、改めて決議された。これで原告側の提訴理由はなくなるはず、というのが、会社、中間法人側の主張だ。

 しかし、若林氏は依然提訴を取り下げるつもりはなく、今回の臨時総会そのものにも問題があると主張する。理由は、この臨時総会の召集人である稲見氏は、単にクラブの理事長であり、中間法人の代表理事でないため、そもそも召集権がないこと。さらに、10日前の通知では現実的に会員の総意を汲み取ることは不可能であることなどを挙げ、「そもそも臨時総会を開いたこと自体が、第1回の社員総会が適法でなかったことを認めるものであり、それとまったく内容が同じ決議そのものに疑問が残る。これは会社や一部会員による中間法人の悪用で、本来、民主的な運営を保証するはずの中間法人が、一部の人間による独裁を生む危険性もある。現実に中間法人の名の下、経営責任をとらないまま、稲見氏は運営会社の社長、中間法人の理事としてゴルフ場を支配している」(若林氏)としている。

 もちろんこれについても「私が社長、理事の地位にこだわらないことは社員総会でも公言しており、それは民主的運営を前提とした再建の中で、会員の皆さまのお決めになること。ただ2度の総会は適法であり、また若林氏の主張には事実誤認もあり、その点についてはどのような形であれ主張していくつもり」(稲見氏)と、まさに泥仕合の様相を呈してきている。

 若林氏側は、今回の臨時総会についても、今後、決議の無効、取り消しを求めて提訴する用意があり、双方の主張については、今後、裁判の中で争われる以外にはなさそうだ。

 それはともかく、ゴルフ場再生の手段としてようやく認知されつつある中間法人だが、同法人化を目指すゴルフ場関係者が口をそろえるのが、「中間法人の意味と、その必要性を会員に説明するのが至難の業」というもの。たしかに、会員の民主的な運営を目指すものか、単に預託金の大幅カットを目的としたものなのか、一般の会員には見分けづらいことも事実だ。

 ただ、中間法人は、任意団体だった会員たちが、法人として自分たちの権利を守り、責任を負うということでもある。とかくゴルフクラブの運営は他人任せの状態が続いてきたが、中間法人であるかどうかは別に、今後は会員も無責任ではいられないことだけは確かなようである。

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