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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/23号
2003年更新
今年オープンのゴルフ場はたった2カ所
次々と計画が頓挫する中、開場できた理由
 ゴルフ場業界の低迷が叫ばれる中、新規開場コースはこれまで毎年絶えることなく、国内のゴルフ場数は一貫して増え続けてきた。そして、昨年度は2460カ所までになったが、その増加数も今やすっかり頭打ち。ついに今年、新規オープンはたった2コースにとどまりそうだ。

 今年開場したゴルフ場は、北海道帯広市郊外に10月10日に仮オープンしたアリスト本別GCと、沖縄本島中部で那覇から車で約30分のところに11月15日にオープンした中城(なかぐすく)GCの2コース。日本列島の北と南の端で誕生しただけである。

 日本ゴルフ場事業者協会(NGK)の統計によると、終戦直後の一時期を除き、国内のゴルフ場数は戦後一貫して増え続けてきた。第2次オイルショックの不況期に当たる昭和56年度には、ゴルフ場の増加数が「3」と激減したこともあったが、新規開場が2カ所というのは過去最少と見られる。

「国内のゴルフ場はすでに供給過剰です。市場規模から計算すれば、現在の2400コースのうち600ほどが余分なんです。そんな環境にもかかわらず、よく開業に踏み切ったものだ、というのが正直な感想ですね」と語るのは日本ゴルフ場経営総合研究所の降旗貞夫専務理事。

 昨年の国内のゴルフ場利用者数は延べ約8800万人。それを約2400のゴルフ場数で割ると、1コース当たりの年間入場者数は3万7000人程度となる。一般に年間5万人が大まかな損益分岐点と言われており、単純に計算すれば600余が過剰になるということだ。

「私どもの調査では、黒字経営のゴルフ場は全国に400コースしかありません。ゴルフ場経営は儲からないというのが現状です。ですから、今後参入するゴルフ場というのは、よっぽど特別な勝算があるか。はたまた、止めるに止められない事情があるかのどちらかがほとんどでは」と降旗氏。

 その後者の事情とは、察するに、コース造成がかなりの割合で進んだとか、ハウスが出来上がってしまった、あるいは地元の地権者や自治体との約束といった要件が挙げられそうだ。

 そこで今年開業の2コースのうち、まず沖縄の中城GCだが、年間8万人余の入場者を誇る沖縄CCの姉妹コース。その資産価値や信用度を背景に融資を受け、5年前に開発認可を取得。2年前に工事着工し、先月、順調にオープンにこぎつけた。

「沖縄CCと比べると田舎なので、あちらが名門クラブなら、こちらは多少カジュアルで気軽に楽しめる運営にして、特徴を出したいですね。料金も多少安くする予定です」(長谷川辰治支配人)

 この2~3年にオープンしたゴルフ場は、コストと料金を抑えるためセルフ制の採用が一般的。だが、ここは今どき珍しいキャディ制。会員権も個人正会員で192万円と比較的強気の設定にもかかわらず、販売開始1カ月で140人が入会。年内に200人に達する見通しという。また、1000万円の特別VIP会員権(グリーンフィ無料、同伴者3名もメンバー料金)も、さっそくひとり購入したという。沖縄経済はまだ停滞気味と聞く。その中でのこの好反響。不振にあえぐ全国の多くのゴルフ場を尻目に、好調なスタートを切った同GC。遠くからも気になる存在である。

 目を北に転じて、北海道帯広市郊外で10月10日に仮オープン、同月末に冬期クローズしたアリスト本別GC。こちらは10年前に別荘地施設も併設した総合リゾートとして開発許可を取得。しかし、計画はその後の経済状況により大幅に縮小。結局、地元密着の低料金コースとしてオープン、地元町民を中心に本格的には来春から38万円で定員500人を募集するという。

 同コースは静岡県に本拠地を置く造園会社、真田興産が事業主体で、もともと他のゴルフ場の造成、芝張り、植栽などを手がけるスペシャリスト。今回も金融機関からの借り入れもなく、一切を自社で行い、コストをかなり低く抑えることができたことが、厳しい経済環境の中、オープンまで漕ぎ着けることができた最大の要因と見られる。仮オープンの際には、町唯一のゴルフ場誕生に、熱い歓迎を受けたという。逆境にもめげず頑張ってもらいたい。

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