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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/14号
2003年更新
今主流の中間法人を採用したコースの会員が
理事の選任法に反対、取消しを求めて訴訟
 ゴルフ場の再生スキームとして注目を集める中間法人だが、その第1回の社員総会の決議をめぐり、無効・取り消しを求める裁判が千葉地裁で起こされた。一部理事によるゴルフ場の乗っ取りと主張する原告に対し、中間法人による民主的なクラブに生まれ変わったと主張する被告。第1回口頭弁論は10月9日の予定。どのような論戦が繰り広げられるのか注目されている。

 舞台は、昨年7月に民事再生法を申請した大栄カントリー倶楽部。親会社、(株)大日本土木の民事再生法申請を受け、石坂GC、太子CC、多度CC、中軽井沢CCの経営3社とともに民事再生法を申請した。

 この2月に可決した(株)大栄カントリー(稲見彰夫社長)の再生計画によれば、退会会員は預託金の94パーセントカット。残る6パーセントは10年で分割返済。一方で「有限中間法人大栄カントリー倶楽部」を設立。大日本土木から、経営会社の(株)大栄カントリー(資本金8000万円)の全株式を、中間法人が1株1円で譲り受け、退会しない会員は中間法人の社員となることで、間接株主会員へと移行するという内容。

 なお、退会しない会員の預託金については、60パーセントカットの後、10年据置とした。同時に会社側では、会員から1口30万円で融資を募り、大日本土木が持っていた総額2億7600万円の別除権(抵当権)を買い取ってもいる。つまり中間法人が経営会社の全株式を所有し、また別除権をクリアにすることで、中間法人を用いた会員主導による再生を目指そう、というものだ。

 再生計画は今年2月、出席債権者の98.79パーセント、議決債権総額の89.14パーセントという圧倒的多数で可決、認可。同時に会員の90パーセント強にあたる1360人が、中間法人の社員になった。それを受けて5月30日、中間法人の第一回社員総会が開かれたわけだが、ここでの決議の無効、取り消しを求めているのが、経済評論家の若林照光氏ら4名の会員だ。

「中間法人というスキームによる会員主導の再生、そして親会社が持っていた別除権を会員が買うというところまでは問題ない。だが、理事の選任ひとつを取っても、非民主的で会員主導というにはあまりにもかけ離れている」(若林氏)というのが、裁判に踏み切った理由だ。

 若林氏の主張によれば、社員総会前に13人の理事候補の名簿が送られてきた。そこに賛否を示す○×を記入するようになっていたが、「罷免するためには過半数の反対が必要だという。また、新たに理事に立候補したくても、会員の過半数の推薦が必要で、事実上不可能なこと。そもそも民事再生申請した稲見社長が経営責任を取ることもなく、理事に就任しており、これでは会社側の意向に沿った一部の者が、ゴルフ場を乗っ取ったと疑われても仕方ない」(若林氏)と主張する。

 なお、第1回社員総会では、13人の理事案が可決されており、井手口魁(おさむ)、谷口知治両氏が、共同代表理事に就任した。

 これに対し、(株)大栄カントリー社長で、今回中間法人の理事にも就任した稲見社長は、「民事再生法申請から会員の皆さまには、社長の地位、また再生計画にある中間法人の理事の地位にこだわらない、ということを私自身は訴えてきた。私自身に経営責任があるとの主張は甘んじて受け止めるが、民事再生申請に際し、昨年10月に大日本土木を辞職し、親会社の意向とは関係なく、会員の皆さまの力によってなんとか大栄CCを再生させるために一生懸命やってきたという自負もある。中間法人の理事については、中間法人、つまり会員の皆さまがお決めになることで、私はそれに従うだけだし、またそれが当然のことでしょう」と話す。

 原告が主張する理事の選任方法については、「意見は意見として受け止めるが、その主張に事実誤認もあり、それは裁判の席上、私たちの主張を明らかにしていくしかないでしょう」

 社員総会を終え、6月から3カ月間で、入場者数で前年比約18パーセント、売上高で約12パーセント増を記録。「中間法人により、会員の皆さまに芽生えた“自分たちのコース”との想いが、こうした数字につながった」という稲見氏に対し、「仏つくって魂入れず。せっかく中間法人による間接株主制を活用しながら、会員の声がまったく届いていない」とは若林氏。

 両者の主張は裁判で争われるとして、会員たちが、自分たちのクラブの未来について、もっと話し合う場が必要なことだけは確かなようである。

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