週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

　――この時期でのツアー初優勝は予想していた？
「ちょっと早かったかな、という感じ。自分としては今年中には勝つ予定でしたが、もう少し優勝争いを経験してから、というつもりでしたから……。ただ、開幕戦の東建ホームメイトでも最終日最終組で回りましたが、やはり経験不足から、ズルズル後退してしまった苦い経験があります（首位と3打差の3位タイで最終日を迎え、結局18位タイまで後退）。ですから、優勝争いの経験を積めば、勝てるという自信はありました」

――その開幕戦の優勝争いでどんなことを学んだ？
「ここぞというときにアグレッシブになれなかったんです。どんどんピンを狙っていかなくてはいけないのに、できなかった。それが今回は、東建の苦い経験もあったので、トップに立ってもアグレッシブに攻め続けようと心がけていました。プレッシャーはありませんでした。それより攻めるぞ、という気持のほうが強かったです」

――もともとプレッシャーには強いタイプ？
「どうでしょうか（笑）」

――東北福祉大のゴルフ部では星野英正プロが１年先輩、宮里優作プロが２年後輩。２人とは優勝後、何か話した？
「星野先輩はプレー後、18番ホールで待ってくれていて“すごいよお前は”と祝福してくれました。宮里は“さすがですね”という電話をくれました」

――星野プロはすでにツアー初Ｖを飾ってますが、宮里プロよりは先に優勝できましたね。
「そうですね。星野先輩の後塵を拝するのは仕方ないですが、やはり後輩には負けたくないという思いがありますからね。宮里も負けず嫌いですから、かなり刺激を受けたと思います」

――学生時代、この２人との戦いはどうだった？
「学生時代はタイトルを獲れそうで獲れないという状況でした。まだ、荒さと経験不足がありましたから、星野先輩には１日は勝ててもトータルでは勝てませんでした。でも、今では追いついたかな、という気持ちですね。宮里とも仲は良かったけど、トータルでは負けてましたね」

――優勝後、周りの反響は？
「勝った日曜日には、家と携帯におそらく１００件は超える電話がありました。家に帰るまでも携帯が鳴りっ放しで、夜12時くらいまでありましたね。翌日の月曜も同じくらいの電話があって、こんなに喜んでもらえるとは、と驚きました」

――今年の元旦、広島県尾道市の実家が隣の飲食店から夜中に火が移って全焼、あわやのところだったとか……。
「夜中の３時ごろ、初詣から帰ってテレビを観てたんです。30分くらいして、何かおかしいぞと思って外へ出てみたら隣りが火事。それで急いでキャディバッグを取りに戻りました」

――キャディバッグだけ？
「それくらいしか取りに戻れなかったですね」

――慌てなかった？
「結構、冷静でしたね」

――でも、初詣でに行かず、いつも通りに早く寝ていたら、今回の優勝もなかったかも……。
「そうですね。波乱万丈の年だな、とは思いました。それがこのような結果になってよかったと思います」

――米国にトレーニングに行ったとか？
「今年のオフは、西武の松坂大輔投手やスピードスケートの清水宏保選手を指導した山坂元一トレーナーに師事して、体を鍛えました。スポーツジムにあるような自転車漕ぎのトレーニングでは、ものすごい負荷をかけて１分間一気に漕ぐといったようなことをしました。気を失うようなハードな内容でしたね。それでかなり肉体的に鍛えられたと思います」

――尊敬するプロは？
「師匠の青山充さんの紹介で青木功プロと何度か一緒にプレーさせて頂いているのですが、あの青木さんのゴルフに対する情熱に触れる度に、素晴らしいなあ、と思います。ボクも青木さんのようになれたら、と思っています」

――米国のＱスクールは今年受ける？
「今年は、経験を積むつもりで受けようと思ってましたが、日本で勝てたし、このままいくと、まだ勝てそうな気がしますから、Ｑスクールに受かればそのまま米ツアーに参戦したいです」