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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/24号
2003年更新
昨年暮に民事再生申請の米原CC、会社側の
一方的な再生案に対抗、会員有志が対案提出

 民事再生法を申請した米原カントリークラブ(千葉・経営会社房総観光開発(株))で、会社側の再生計画案に対し、6月5日、会員有志が対案で対抗。7月9日、東京地裁で予定されている債権者集会では、今回の対案が再生計画案の賛否に大きな影響を及ぼしそうな気配である。

 米原CCは平成元年の開場。バブル景気を背景に預託金800万円から5400万円までを法人、個人正会員合わせ500口強、入会金・預託金総額で約170億円強を集めた。

 ご多分に漏れず高級接待コースとしてスタートしたが、バブル経済の崩壊、またゴルフ銀座市原という激戦地区の中で、苦しい経営を強いられたうえ、平成9年に償還期限が到来、据置期間の5年延長、会員権分割などで対処してきたが、延長期間満了後の償還請求が集中、また償還を求める一部会員に支払う和解金により資金繰りが悪化、昨年12月26日、ついに民事再生法を申請。負債総額は約106億円で、従業員の給与など約5000万円を除き、そのほとんどが会員からの預託金だ。

 3月27日、会社側は再生計画案を提出。それによれば、会社側は自主再建を断念。スポンサーを選定した後、会社を解散、清算するとしている。さらに再生計画案では、すでに同CCの個人正会員・劉信一氏と石黒明博氏をスポンサーに選定。同案の中で「本件ゴルフ場に対して強い愛着を持つ」とだけ紹介されており、具体的には両氏が現在、設立中で共同代表を務める(株)エイチ・ジェイが再生計画案可決後3カ月以内に、6億円でゴルフ場のすべての資産と営業権の譲渡を受けるということになっている。譲渡の条件については、従業員の雇用継続、高級会員制コースとしての会員のプレー権の確保、さらに譲渡後には約10億円かけて高級会員制コースに相応しいリニューアルを行うとしている。

 気になる預託金の扱いについては、預託金額の95パーセントカット。残り5パーセントは営業譲渡代金支払い後、3カ月以内に一括して払う。そしてプレー権を望む会員に対しては、預託金1700万円以下の会員については弁済額と同額を、またそれ以上の会員については85万円を新会社に預託すればプレー権が保証される。85万円とは最多価格帯である1700万円の5パーセントである。

 しかし、これに対して黙ってないのは、やはり同CCに「愛着を持つ」他の会員だ。会員有志は1月に、千葉大の多胡輝名誉教授を代表に「米原債権者有志の会」を設立、会社側との交渉を続けてきた。しかし、妥協点は見出せず、前出のような再生計画案の提出となった。

「密室で決めたことを一方的に会員に従わせようという態度が、我々の態度を硬化させ、スポンサー選定の理由や譲渡金額の妥当性、さらにはグループ企業を含む不明朗な経営内容と、我々の不信感を増大させた」とは、同会の世話人、太田眞介氏の弁。

 さらに、再生計画案に対抗しようと、同会が独自にスポンサー選びを開始した際、このご時世でスポンサー探しは難しいと思っていたが、「意外にも訪問した3社すべてが、我々の話に深い興味を示してくれた」(前出・太田氏)。そして今回、有志の会が会社側の再生計画案の対案として提出したのが、そのうちの1社である森トラスト(株)をスポンサーとする再建案だ。同社はビル賃貸、管理の大手で、ラフォーレ修善寺&CC、ラフォーレ白河CCを傘下に持つ。

 そして、会員側の対案によれば、森トラストが再建資金として10億円を拠出。ここから従業員給与や税金の優先債権など約2億円を支払い、残りを再生計画否決後、会員に対して弁済する。この弁済率は会社側の提示よりも多い8パーセント。その後、森トラストは400万円で新規募集を行うが、これに先立ち旧会員に対しては優先的に120万円で募集する。ちなみに最も多い1700万円の会員の弁済額は136万円。プレー権継続を求める会員の手元にもわずかとはいえお金が残るという提案だ。

 これについて会社側では、「(対案の)詳しい内容を見ていないのでコメントする立場にないが、(スポンサーや譲渡金額を含め)再生計画案は妥当な提案だと思っている。多くの会員の皆様にご理解頂き、必ず可決されると信じている」と、自信を覗かせる。会員の指摘する“不透明な経営”についても「有り得ないこと」とした。

 これに対し、会員組織側は民事再生計画案の否決を目指すが、債権額、債権者数ともに過半数以上を獲得することで、会社更生法の申請、適用へと持ち込み、経営責任も明らかにしたい構えだ。仮に破産へ移行したとしても「米原CCの評価は、会社側の提案よりも高く、仮に第三者が競落しても、少なくとも会社側の再生計画案より高い弁済率は確保できる」とこちらも意気盛ん。

 対案発表前時点で、有志の会がつかんでいる反対票は、債権者数430名(会員数382名)のうち37パーセントに当たる160人、債権額では33パーセントにあたる約35億円。対案発表後でその割合が増えたと予想されるが、債権者集会まで1カ月間、両者の攻防は見逃せない。

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