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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/15号
2003年更新
経営破綻後、会員がゴルフ場取り戻す動き増
清川CCでは会員が買い取る更正計画案可決
 会員が結束してゴルフ場を取り戻す------。口で言うのは簡単だが、実行に移すとなると困難を極める、この難事業が実を結びそうな例が相次いでいる。

 まずは3月20日に更生計画認可にこぎつけた清川CC(神奈川)。コースに設定されていた担保を買い取った外資のローンスターが、同コースを競売したことから、平成13年5月に守る会が債権者として横浜地裁に会社更生手続開始を申請。ところが、経営会社側がこれに対抗して東京地裁へ民事再生を申請した。その後、横浜地裁が民事再生手続きの中止を決定、横浜地裁での更生手続で行くことが決まったと思ったら、今度はローンスターがスポンサーに名乗りを上げ、守る会と全面対決する展開に。最後はローンスターが下りて、ようやく守る会がゴルフ場を手にする権利を獲得した。6月には裁判所に25億円の出資金を払い込み、9~10月には債権者への配当が完了し更生手続きが終結、晴れて裁判所の手を離れることになる。

 守る会が会員から集めた資金は総額約28億円で、1人あたり正会員で150万円もの負担だったが、それでも予定の1600口を上回る応募があったことについて、守る会の代理人の今井征夫弁護士は「それだけどうしても清川でプレーしたい人が多かったこと、そしてそれだけの負担に耐えうる経済力のある会員が多かったことが要因」と見る。外資の手に渡ってしまったら、いつプレー権を失うかわからないという危機感と、ずっと清川でプレーがしたいという気持ちが原動力になった、というわけだ。

 また、日東興業グループの中で、スポンサーである外資のゴールドマンサックスに唯一背を向け、ついに民事再生手続きの廃止にまでこぎつけた浜野GC(千葉)も、会員組織の結束が実を結びつつある。外資のゴールドマンサックスが申請した民事再生は1月に廃止、2月7日付けで昨年秋に会員側が申請していた会社更生法で手続きを進める決定が下りている。

 民事再生手続き廃止の決め手は“会員の頭数”だった。会社側が提示した再生計画案への賛否を問う決議では、債権額では65.2パーセントの賛成を得ながら、債権者数では48.9パーセントと、過半数を獲得できなかった。人数が原因で手続きが廃止になる初のケースとなった。

 依然として浜野のゴルフ場に設定された担保権を巡り、無効を主張する会員側と、有効を主張する担保権者のゴールドマンサックスとの対立は続いている。自ら浜野の会員で守る会を推進してきた満田繁和弁護士は「早ければ5~6月には判決が下りるのでは」と見ているが、この担保権の有効性を巡る訴訟で、会員が敗訴すると戦いは長期化するが、勝訴すれば会員は多大な資金負担を負わずにコースを取り戻せることになる。

 会員組織の結成から6年、経営会社を会員自らの手で破産に追い込み、事実上自主運営を続けてきた大金GC(栃木)も、ようやく名実ともにコースを会員の手に取り戻せる可能性が濃厚になってきたようだ。同GCは破産手続きに従って、3年前から競売手続きが始まったが、当初の最低売却価格は実に32億円。今回、管轄の宇都宮地裁から公表された最低売却価格は約8億円にまで下がったため、4月8日から始まる入札で会員組織が落札できればコースは会員組織のものとなるわけだ。

 会員組織の代表である北條充男氏は「応札するかどうか、あるいはいくらで応札するのかといったことは入札前の今の段階ではコメントできない」としているが、すでに1口200万円の出資呼びかけに対し1050口(旧会員約1200名中)の賛同を得ており、資金上の問題はクリアしているという。北條代表が「初志貫徹」を口にしていることもあり、会員組織が入札に参加することはまず間違いないと見られている。

 これらのように、会員が結束してコースを自分たちの手に取り戻そうとする動きは全国で見られるものの、派閥ができたり資金提供の問題で足並みが揃わなかったりで、会員が一枚岩になれずに頓挫する例は多い。

 成否のカギについて、ゴルフ場問題に詳しいある専門家は「決め手になるのは指導者のリーダーシップと会員のコースへの愛着」と見ている。また、「ふりかかる難題が結束を強めることもある」とも言う。たとえば、競売を仕掛けてくる債権者、スポンサー候補に現れる外資など、現実に目の前に強力な“敵”が現れると人間の結束は一段と強まるというのも真理かもしれない。

 ともあれ、急増する民事再生でほぼ一方的に預託金がカットされ、会員も泣き寝入りするしかないと思われがちな現状だが、この3コースの成否は他のゴルフ場にも大きな影響を及ぼすだろう。

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