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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/11号
2003年更新
国内28コース所有の大手・日本ゴルフ振興が
異例! 債権者のRCCと共同で民事再生申請
 業界大手の日本ゴルフ振興(株)(大西進社長)が、系列3社とともに2月18日、大阪地裁に民事再生法を申請した。負債総額は日本ゴルフ振興単体で約3322億円、系列4社を合わせて約3602億円。前日に民事再生申請したエスティティコーポレーション(ゴルフ事業を行なうSTT開発の親会社)の約3131億円を超し、今年度最大規模の倒産を、またしてもゴルフ場経営会社が塗り替えることになった。

 申請したのは、日本ゴルフ振興の他、日本ゴルフ振興沖縄(株)、宮崎国際ゴルフ倶楽部(株)と、スキー場や高速道路でレストラン事業などを展開する千登世商事(株)のグループ4社。系列国内28コースの会員数は8万8100人(他に中国、ブラジル、タイなどに4コース)で、こちらも日東興業(和議から民事再生)、スポーツ振興(会社更生)を凌ぐ最大の数字となった。

 もっとも、これまでの多くのゴルフ場倒産のように、預託金債務そのものが直接的な原因ではないようだ。同社広報、申請代理人の宮崎誠弁護士の事務所とも、「詳しい数字について、まだお話できる段階にはない」としつつ、約3600億円の負債総額のうち約1900億円が金融債務。残りの過半は預託金債務と見られているが、「先代の故大西一社長が始めた、中・四国最大のテーマパーク、レオマワールドへの1000億円、また500億円の株式投資がバブル崩壊によって裏目に出たことが、申し立ての最大の理由と考えて頂いて結構です」(同社・広報部)

 レオマワールドは91年に香川県に開園。日本ゴルフ振興は、100パーセント子会社の(株)レオマを通じて、1000億円を投入した大事業でもあった。しかし2000年8月には、業績不振からあえなく休園。その後、売却先を見つけるなど奔走したが、これも進展せず、今回の民事再生法につながった模様だ。

 実際、同グループが平成に入ってからオープンしたコースは、平成5年開場のレオマ高原GC(徳島)と同7年開場の関西空港GC。グループの中で最も高額なのは関西空港GCの3000万円だが、募集は景気低迷を受け最終800名まで至らなかった。会社側では、「高額の関西空港や、とくに景気が低迷する北海道での返還請求が増え、加えて顧客単価の減少もあり、これも申請の一因になった」(同社広報部)と説明する。

 しかし、会員の中には、事業拡大による経営失敗のツケを会員が払わされるとの不満も強い。実際、系列コースは不況下でも比較的一定の入場者数を確保しており、また預託金の返還についても会員権の分割、据置期間の延長といった措置を取った形跡もなく、原則として「待って頂くことはあるが、原則的にはお返ししてきた」(同社広報部)だけに、ゴルフ事業を主原因としない民事再生法申請には、会員も納得できない、というのが率直な心境であろう。

 気になる今後の会員の扱いだが、「会員の皆様のプレー権確保を前提とした申請であることをご理解頂きたい」(広報部)と話すにとどまったが、預託金の大幅カットは避けられず、またスポンサー方式による再生も視野に入れている、との見方が強く、一部では早くも候補として、ローンスターグループの名前も取り沙汰され始めた。

 さて、今回の申請は金融債権の多くを所有していると見られる(株)整理回収機構(RCC)との共同によるもの。RCCは、昨年2月のスポーツ振興の会社更生では主導的な役割を果たし、オーナー一族を排除する強い姿勢で出たことでも知られる。また一昨年12月に、再生機能も持ったことから、(株)信和ゴルフについてはゴルフ業界で初めて債務放棄を行ない、再生による回収との手法も試みている。

 その件について、RCC大阪支社では「ゴルフ場案件について、今後すべてを再生するというものではない。あくまで協力的な事業者で、情報開示がなされ、会員の権利を守りたいという前向きな姿勢のあるゴルフ場であれば、債権者として我々も、債務者と一緒に智恵を出して再生の道を探るということ。日本ゴルフ振興についてはRCCが約800億円の債権を持っているが、一定の債権を放棄しても、事業継続により債権回収が可能であり、当社の再生機能を使う条件を満たしていると判断した」と説明する。

 本稿締切り後の24日には東京、大阪、福岡で会員説明会が開かれる予定。

 施行された平成12年には23件、13年には44件、14年が142件と増え続ける民事再生だが、業界大手の申請により、今年も会員に不安と動揺を与える激動の1年になりそうである。

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