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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/25号
2003年更新
佐藤英之、横島由一ら、最近目立ってきた
ツアープロからゴルフ場支配人への転身組
 職種によって求められる気質は異なるものだ。例えば、自我の固まりのような芸術家に、気配りが肝心な営業の仕事は難しい。ゴルフ界でいえば、ツアープロと支配人。両者に求められる性格はまったく別に思えるのだが、実はこのところツアープロから支配人に転身するプロが増えている。

 まずは、昨年の9月2日付けで、太平洋クラブ&アソシエイツ益子コースの支配人に就任した佐藤英之(42歳)。ツアー1勝、97年まで賞金ランクでのシード権を5シーズン獲得。昨年、支配人職に就いた後の日本オープンでも2日目まで3位にいる活躍を見せ、今季もQT(16位タイ)から出場権を得ているバリバリのツアープロである。

「昨年、試合に出られなかったときに、太平洋クラブの本社から、プロの眼で、お客さんに喜ばれる運営、サービスをやってくださいと言われ、多少不安はありましたが、お受けました」(佐藤プロ)

 現在も、別に総支配人がいて実質的には「支配人見習い」の立場で勉強の毎日だと語る。中でも大変なのが、ツアープロとしてのプライドから、ゴルフ場ではなかなか緊張感が抜けないことのようだ。しかし、いずれは支配人としてクラブ活性化に役立つ仕事がしたいと、将来を展望する。

「もちろん、今後も出られる試合では全力を尽くしますが、同時に僕の活躍がゴルフ場の宣伝になればと思っています」と、スタンスは半分、支配人に置いているようだ。

 逆にツアープロ卒業を明言するのが、横島由一(50歳)。昨年12月25日付けで日本ゴルフツアー機構の委員を辞め、同じく太平洋クラブ&アソシエイツの美野里コースの支配人に就任した。

 プロ通算9勝。89年には賞金ランク8位のかつてのトッププロだが、シニアツアーには挑戦しないという。試合から離れて長いため、シニア競技でも試合勘を取り戻すには、最低2年は必要と語る。それよりも、今は完全に支配人業に燃えている。

「以前から、ゴルフ場の現場で働きたいと思っていたので、話があったときにはすぐに引き受けました。仕事はまだ暗中模索。今は、珍しさもあって、僕目当てのお客さんもいるのでしょうが、それも1回限りです。一般ゴルファーの気持ちになって、いずれはツアープロ出身ならではの新しい企画を立てて、お客さんを呼び込みたい」と抱負を語る。

 太平洋クラブでは、他にも同ヒルクレストコースで、女子のかつてのシード選手、山田満由美(40歳)を昨年12月に副支配人で招聘している。こうしたツアープロ採用の狙いを同社は、「従来の総合的なマネジメント業務に加え、これからは実際のプレーでもお客様のニーズに応えていく必要があると判断してのこと。プロであれば、技術的なことでもお客さんに気軽にアドバイスできますし。採用に当たっては、これまでのキャリアのほかに人望なども考慮しています」(広報担当)

 実際、山田プロも、同社ゴルフアカデミーでインストラクターを務め、そのレッスンには定評がある。また、本人も、「女子のツアープロから、こうした仕事にも就けるんだということを示して、後輩選手の励みになれれば嬉しいですね」と語る中に人望のほどが伺える。

 それでも、「自分が一番」の気概が必要なツアープロからの転身は、楽な道のりではないだろう。同じ道のりの先輩格に当る井上幸一(89年に札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース支配人に就任、プロ通算3勝)は、「最初は(当時は会員権の営業も担当)、私がプロということで、お客さんが昼も夜も歓待してくれました。でも、こちらは営業なので気が抜けない。その緊張感の連続が大変だった」と振り返る。

 本人の意識とは関係なく、周りはツアープロと見る。その意識のギャップの扱いが難しい。「でも、プロはプロなんだから、スポーツマンの良さを持ち続けること。正々堂々、ルールとマナーに則って行動し、計算づくの商売人にはならないことですね」とアドバイスする。

 その井上プロも、楽しくゴルフがプレーできるようになったのは最近のことだと明かす。「『下手になったね』と冷やかされながらやってますよ」

 プレーをからかわれて、初めて一人前の支配人? それとも、それぞれに新しい支配人像を築くのだろうか。

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