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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/18号
2003年更新
ネット通じ個人同士で会員権売買が可能
新オープン市場システムは業界を変えるか
 月間約900万ビューを誇るという人気サイトの「E*GOLF」(イー・ゴルフ(株))は、1月28日から関東地域を対象にした、日本初のゴルフ会員権のオープンマーケットを開始した。インターネットを通じ、間接的ではあるが、個人同士の売買も可能になり、これまでの会員権業界の商慣習に影響を与えることは必至のようだ。

 イー・ゴルフ(株)(山内信二社長)は、ソフトバンクファイナンスグループの大手ゴルフ関連サイト。会員権取引には、昨年2月に参入した。ただ、全国にある7つの「ゴルフ会員権取引業組合」との関係から、会員権の売買を求めるユーザーのアクセスには、サイトに登録した業者(43社)のホームページへの橋渡し役にとどまっていた。

 さらに、昨年9月、同サイトに対し、関東会員権取引業協同組合は「気配表類似物への物件掲載を禁じる」との規約に触れるとし、登録業者に罰則規定を適用。そのため組合加盟業者は、事実上同サイトに売買物件を掲載すらできなくなっていた。

 業者が匿名で参加できる今回のオープンマーケットが、関東のコースのみを対象としているのは、そうした背景がある。

 具体的にイー・ゴルフは組合未加盟の、会員権取引会社イー・ゴルフサービス(株)(山内信二会長、平山敏雄社長、ともに代表取締役)を設立。個人、法人、業者からの注文をサイト上で受付、売買契約やゴルフ場への入会手続きまでを行う。

 この辺の事情について山内社長は「ゴルフ会員権は実際の売買価格が見えにくい、との指摘が強く、その不安が市場低迷にもつながっている。私たちはサイトを通じ流動性、透明性、即時性を高めることにより、会員権業界の活性化にお手伝いしたいと、この業務に参入した。ところが関東の組合から規約違反とされ、ならば自分たちでより透明な市場を作ろうということで立ち上げた」と説明する。

 実際に今回のオープンマーケットは、身元確認や売り注文の場合の証券確認などの手続きを踏めば、個人、法人、会員権業者の誰もが参加できる。対象447コースについて、売り、買い注文と希望金額がサイト上に表示され、また交渉中のものについては商談中の表示も出る。さらには、開始時点で注文数も少なく、成約件数もないせいかまだ表示はないが、「今後は成約した物件について、実際の成約価格もサイト上に表示していく」(平山社長)と言う。となれば、これまで業界に指摘されていた、いわゆる「鞘抜き」(安く仕入れ、高く売ることで、手数料以外の儲けを業者が得る)が解消される。

 そのため、新会社の収入は、500万円未満の取引については一律7万5000円、500万円以上については売買価格の1.5パーセントに設定した成約手数料のみ。業界の一般的な手数料である10万円、売買価格の2パーセントよりも低い設定となっている。

「このマーケットでは実際の売買がそのまま相場になる。我々の収入は手数料だけという透明なものですから、会員権の潜在需要を掘り起こすものになると確信している。当面は月間100件の成約を目指すが、3カ月後に達成できるものと思っている」(平山社長)

 対象コースの多くは、現時点で500万円以下の物件。単純計算で1件の成約につき、売り手、買い手双方からの7万5000円の手数料が収入となり、月間100件と計算すると月商で1500万円、年商で1億8000万円のビジネスになる。

 さて、既存会員権業者は、この動きについてどのように見ているのだろうか?

「脅威と期待の半々で様子を眺めている」とは、(株)現代ゴルフサービスの大久保貢社長だ。「サイトそのものが人気、質の高いものであることは業界も認めている。またインターネットは時代の要請でもあり、市場に刺激を与えることも事実だろう。だが一方で、他の商品と違い、会員権はインターネットを用いても、入会手続きなど対面販売の必要な商品。それだけに要はいかに信用できる業者であるかどうかが問われる」と話す。

 30年にわたり関東会員権業取引組合の事務局、専務理事も勤め、今回イー・ゴルフサービスの顧問に就任した牛島貞夫氏は、「業界にとって共通の課題は、いかに若い人の眼を会員権購入に向けさせるかということ。私はこのシステムは、組合にとってももちろん、業界全体を活性化するものだと思う」と語る。

 ともあれ、オープンマーケットの成否は、低迷する会員権業界のあり方に、大きな影響を与えることは間違いなさそうだ。

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