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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/7・14号
2003年更新
USGAとR&Aの反発係数規制
騒動に振り回された日本のメーカー
 1年前に、01年の用品界を「ひと言で表せば『高反発』に尽きる」と総括した。02年の用品界を象徴する言葉も、同じく「高反発」だった。しかし、それが意味するところは、この1年で全く変ってしまった。

 1年前、この欄では「高反発を謳ったドライバーのトレンドは02年も続くだろう」との見方を示した。確かに、前半はそのトレンドが続いたが、8月に発表されたUSGAとR&Aによる反発係数(COR値)規制の合意がその流れを変えた。

 詳細は省くが、「03年から導入」と騒がれていた規制は、ツアー競技など「上級プレーヤー対象競技」のみ、03年からCOR値0.83で規制できることになったものの、一般ゴルファーに関しては08年まで見送りに。“USGAの規制以上に飛ぶ”とアピールできた「高反発ドライバー」の基準も曖昧になった。加えて、正式には「まだ検討中」(JGTO事務局)とするが、欧州や豪州など日本以外のツアーでは導入が決まっていることからすると、0.83規制導入は国内男子ツアーでも確実視されている。となると、ツアープロは高反発ドライバーを使用できなくなるわけで、プロの使用が強い影響を与える日本市場では「反発係数」を前面に出しては売りにくくなり、今後メーカーがツアープロを販促にどのように利用するかは興味深いところだ。

 ちなみに、日本ゴルフ協会(JGA)では「03年の日本オープン本戦での採用するかどうかは、3月にR&Aから簡便な計測器が届けられる予定で、その有効性を確かめたうえで、結論を出します」(JGA事務局)とするが、日本女子オープンで規制を導入しないことを決定している。それに伴い、国内女子ツアーでは「03年は採用しないことになっています」(LPGA事務局)と言うが、女子の世界では、今のUSGAとR&Aのダブルスタンダード状態が依然残ることになる。

 日本市場に混乱をもたらしたこのCOR規制騒動を、業界に詳しい片山哲郎氏は「結局、国内に巨大なゴルフ用品産業を抱えるが故に用具の規制には敏感にならざるを得ないUSGAと、後手後手に回っても国内産業に混乱を生じさせないR&Aのギャップ。そして、USGA同様、多くの国内メーカーを擁しながら、反対のR&A傘下にあるJGAという、いびつな三角関係が明らかになった。ただ、お陰でJGAがR&A追従の問題性に気付き、その解消を前向きに考え始めたという恩恵もあった」と総括する。

 02年は、予想を裏切ったものも多かった。ひとつは、市場を席巻するかと思われたウレタンカバーのボール。ソフトな打感は捨てても、飛びを重視したいユーザーが多かったせいか、今ひとつの伸びだったようだ。

 もうひとつは、02年からクラブ市場に新規参入、大きな期待を集めたナイキのクラブだ。

「確かに外部では期待したほどは売れなかったとの声もあるようですが、02年の実績は当社の見込み通りで満足してます」(ナイキジャパン・マーケティングディレクター、丸山高人氏)と余裕の評価。遅かれ早かれ大プレークさせるだけの力のある会社だから、というのが多くの専門家の見方。果たして、その日はいつか?

 最後に03年の注目点だが、前出の片山氏は、「プロギアのTR-DUO(デュオ)は、13年間も長きにわたって続いた(ヘッドの)フルチタンボティの時代に終焉を告げる可能性さえあります」と期待を込めて語る。

 同クラブはチタンヘッドの上部に炭素繊維強化プラスチックという新素材を装着した、画期的な発想で創られたドライバー。13年もの「チタン時代」は確かに長過ぎる。この間、メーカーはもっぱらチタン合金の開発競争に終始、新しい魅力をゴルファーに提示できなかった。そのことが、消費不況と併せて、市場を冷え込ませ続けた面もあると片山氏は指摘する。同クラブ伸び悩むクラブマーケットの火付け役となることを期待したい。

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