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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/3号
2002年更新
ゴルフ盗難事故多発は日米とも状況は同じ
ただし米では乗用カートごと盗むケースも
 このところ、ゴルフ場での盗難事件が後を絶たない。本場、アメリカでも事情は似ているようだが、さすがアメリカ? ちょっとスケールが違うようだ。

 アリゾナ州スコッツデールは米国屈指のゴルフ場銀座。避寒地でハイシーズンは10月から4月末まで。リゾートタイプのゴルフ場は、今どこも賑わっている真っ最中。そんな中、ラウンド中、ゴルフカートごと盗まれてしまうというトンでもない事件が頻発している。

 現地スコッツデールのスポーツライター、ビル・ホフマン氏は、その新しい犯罪の手口を次のように説明する。

「最初の被害が警察に届けられたのは10月上旬。それまでは誰ひとり、ラウンド中にカートごと盗まれることなんて考えてもみなかっただけにゴルフ界全体が唖然とした」

 最初の被害が出たコンチネンタルGCは、街から遠くないリゾートコース。地元に住むナダ・バンデンバーグさんは、友人とラウンドしていた。米国のゴルフはハウスのロッカーを使うことは稀で、ラウンド中も財布、クレジットカード等の貴重品類もキャディバッグの中に入れておくのが一般的。それなのにプレー中、乗用カートから離れる時間が結構あり、とくにグリーン上でパットをするときなどは、全員が同時に離れる。その盲点を突かれた犯罪だった。

 ナダさんが悔しそうな表情で、そのときの状況を説明する。「4番グリーンでパーパットを打とうとしたときでした。どこかに隠れていた、15歳から18歳くらいの少年2人が、突然私たちのカートに飛び乗って走り出したのが見えたのです。最初は間違って乗ったのかなと思ったけど、飛ばして逃げていった時点で盗難だと分かりました」

 逃げる相手は乗用カート。追いつけるはずがない。加えて携帯電話も入っていたから、事件通報をするまでに時間がかかった。その間に盗まれたカードから大金が引き出された。日本ばかりか米国でもATMコーナーがどこにでも設置されているため、金が引き出されるまでに時間がかからなかったようだ。

 コースのスティーブ・メイヤー支配人が怒りを込めて語る。「これまで複数の被害が出ているが、カートも含め何も戻っていない」

 地元警察も「実はこの一件だけに留まらず、同じ手口の盗難は続いている。それにしても巧妙。それを可能にしているひとつの理由はコース内は安全と過信している心理の裏をかいている点。しかし、ときにはカートから50ヤードも離れ、カートの存在を忘れるほど熱中するゴルファーは、実は泥棒たちにとって格好のターゲット。この種の盗難は今後も広がることが懸念されます」と警戒を強めている。

 一方、日本では、入浴中、脱衣所での財布の抜き取りや、昼休みなどに高級クラブを盗むという盗難が多発している。また、高級車で来場した客に最初から目を付け、ロッカーの暗証番号を盗み見し、プレーしている間にその車を持っていってしまうという事件も起こっている。

 日米のゴルフ事情に詳しいデューク石川氏(米国ゴルフ記者協会会員)は、この大胆な手口の盗難事件についてこう語る。「まず日米ではコースの造りが違います。日本ではアメリカのように乗用カートで簡単にコース外に出ることは難しい。それに乗用カートもスピードの出ない5人乗りのタイプが主流なのでカートを盗んでも逃げ切れないはず。でも、米国で起きたことは、数年後必ずと言っていいほど日本でも起こるから対岸の火事と笑ってもいられない。それにしてもハイジャックならぬカートジャックとは……」

 とくにこれから年末年始、ハワイ、西海岸等へゴルフツアーに出掛ける日本人はくれぐれも注意したいものだ。

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