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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/5号
2002年更新
主力選手欠く大会を、激しい“舌戦”で
盛り上げた木村敏美と藤井かすみ、軍配は?
 かつての女子プロ界といえば、何かにつけて“女同士の火花”と称した、プレー以外の陰湿な闘いも取り沙汰されたが、近年そういった話題はトンと聞かなくなった。そんな中、不動、福嶋らを欠いたSANKYOレディースで、木村敏美と藤井かすみの“鉄女バトル”が展開、2人の舌戦が大会を盛り上げた。

 木村と藤井の2人は、岡本綾子をはじめとし結束が固いことで定評のあるミズノの契約選手。ゴルフ歴、プロとしての経験こそ木村が藤井を大きく引き離して先輩だが、年齢も木村が33、藤井が34歳と1つ違いで、賞金ランクでも抜きつ抜かれつ、おまけに今季は、ともにここまで全試合出場の“アイアンウーマン”と、何かと比較される仲だ。ツアーでの行動を共にするほどの仲良しではないが、過去には一緒にコテージを借りてルームシェアしたこともあるほどの間柄。基本的には“言いたいことを言い合える”仲のようだ。

 初日は、ともに4位タイで滑り出し、2日目に爆発。木村がコースレコードの65を出して単独首位を奪えば、藤井も途中ダブルボギーを叩きながら盛り返し67、2打差の2位につけるという試合展開になった。

 ここから“舌戦”が始まった。まず1組先に上がった藤井が「もう、敏ちゃんとは朝から火花が散ってます。まずレストランで『今日かすみちゃんはいくつで回ってくるのかな?』と牽制球を投げられ……それからあの8番ホールですよ」と言う。

 その8番、パー3のティグラウンドで前の組のホールアウトを待っていたところへ木村たちの後続組が追いつき、前のホールでバーディを獲ってゴキゲンの木村が藤井にこう言ったのだ。「『私も前の組で一緒に行こうかな。もちろん私がオナーで』って言うんですよ。もう、ムカついてクラブを抜いて、その勢いで打ったら力が入って左にOB。キ~ッ、こうなったら絶対に後半でアンダーにして上がってきてやる! と思った」。

 藤井に言わせれば「だいたい彼女は“口撃”タイプ。今年の開幕戦でも、人のパターを持って『コレ軽いから、ガリガリって短いパット外すでしょ』なんて、イヤなひとことを言うんですよ」。

 一方、後からあがった木村は、まず藤井とすれ違いざまに「やるね、姉ちゃん。あんな林の中からバーディ獲っちゃったりして」と14番ホールのプレーを冷やかし、さらに記者会見で藤井発言を聞くと「8番の? ああ、ジョークで言っただけですよ。あのOBダボは私のせいじゃない。あ、でも逆に後半にいいスコアを出せたのは私のおかげかも知れない」と一蹴。

「明日は64を出す」と息巻く藤井に対して「じゃ、おいていかれないようについていきます。でも自分の目標は75くらいかな」と木村。これが翌最終日朝の会話に持ち越された。

「レストランでわざわざ一緒のテーブルに座ってきて『かすみちゃん、今日の目標は? 昨日の会見で64で回るって言ったらしいじゃん。私は今日の目標75だから』って言うんですよ。とりあえず『打倒、木村敏美!』って言っといたんですけど。も~、あの品のない謙遜」と藤井。

 意外にも最終ラウンドのプレー中には、お互い挑発はおろか、会話もほとんどなかった様子。試合は序盤イーグルを獲って一気に木村に並んだ藤井が中盤から失速して、結局73。木村は72で回り、3打差で逃げ切りVを決めた。年下ながら、結婚、出産、離婚……と人生経験豊富な木村。“母は強し”というか、一枚上手だったということか。

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