週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　この歴史を重ねてきた大西洋を挟む対抗戦だが、今年は異例の日程となった。つまり男女の対抗戦が同じ年に、しかも2週続けて開催されるからだ。ソルハイムカップの翌週には英国でライダーカップが行われる。

　1927年に産声を上げたライダーカップは、奇数年に開催されてきた。そのため90年にスタートしたソルハイムカップは、偶数年開催を選択。そんな中、昨年9月11日、同時多発テロが起きた。開催を2週後に控えていたライダーカップは中止ではなく、1年延期を選んだ。だが、同じような大会が2週続けば、マスコミの扱い、広告スポンサー集めなどが分散することで、どちらかが割を食うことになる。

　LPGA（米女子プロ協会）の関係者は、「2週連続の開催が、もしプラスに作用するなら（日程の変更を）甘受していい」との判断を示しているが、次の開催を2年後ではなく、来年にすることをすでに決定。つまり“割り込まれた”側のソルハイムカップにとっては、ライダーカップと2週続きになることはマイナスに作用すると判断したという意味である。

　そんな状況で9月上旬、欧米両チームの代表、各12人が決定した。特筆されるのは、欧州チーム12人の国籍が7カ国に及ぶこと。それもゴルフの本家・英国からはローラ・デービーズら2人だけなのに対し、これまで欧州代表の座など無縁だったノルウェー、デンマークからも代表が選ばれている。欧州でのゴルフ人気の拡大の早さには目を見張るばかりだ。

　ソルハイムカップは、90年のスタート時、「20世紀中に米国が負けることはあり得ない」と誰もが予想するほど力の差は歴然としていたが、これまで6度の開催で米国は2度も敗れている。それだけに今回の米国のキャプテン、パティ・シーハンは、12選手中2人のキャプテン推薦の人選に最大の注意を払った。

　試合形式はライダーカップと同じで、出場選手は各チーム12人。3日間のうち、前半の2日間は2人1組のチーム戦、フォアサム、フォアボールという異なった形式で全16マッチを行う。勝ちが1ポイント。引き分け0.5ポイントの戦いは、最終日の個人戦12試合でクライマックスに達する。計28マッチのうち14.5ポイントを獲れば勝ちというわけだ。

　さらに歴史を紐解くと、この3日間で重要な役割を演じるのが、多くの場合キャプテン推薦で選ばれた選手であり、今回も両チーム・キャプテンの胸の内が覗ける布陣が揃った。

　2年前に続き、連続勝利を期す欧州は、連続キャプテンのデール・リードが、4人のキャプテン推薦選手をチームに加えた。その多くはベテランで、とくにコークは前回、欧州の勝利を決めたパットを沈めている。過去の実績からチームに勢いを持ち込もうとする狙いが読みとれる。

　一方、連敗が許されない米国も、実績を優先させる布陣を敷いている。4人の欧州と違い、米国の推薦枠は2選手。その2人とはケリー・ロビンスとパット・ハースト。ともにメジャーの勝利者、ソルハイムカップの常連でもある。ライダーカップ同様、大舞台を前にキャプテンが頼りにするのは、若い力より結局は豊かな経験なのだ。

　出場選手がいないため、日本では馴染みが薄いが、英国ではケーブル局とBBC合わせて朝8時から午後4時過ぎまで3日間中継が続く。第1回大会から取材しているゴルフジャーナリストのデューク石川氏は「ギャラリーは朝一番のスタートの1時間前にはスタンドに陣取り、応援歌を合唱、足を踏みならして選手の登場を待つ。その熱狂はサッカー・ワールドカップのそれと同じと思ってもらえばいい」とその熱狂ぶりを語る。

　今年の米女子ツアーでは、ウィリアムチャレンジまでの25試合中、スウェーデンのA・ソレンスタムがひとりで7勝、韓国勢が7勝、米国人はわずか5勝（3人）だけと自国のメンツ丸潰れ状態。果たしてソルハイムカップで意地を見せるのか？