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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/24号
2002年更新
「女性会員入れと」との圧力への対抗策
来年のマスターズはスポンサーなしで開催
 来年のマスターズのテレビ中継からCMがなくなることになった。といっても米国のテレビ中継の話で、日本のゴルフファンには関係ないはずだが、どうも他人事とのんびり構えているわけにもいかないようなのだ。

 米国のゴルフファンにとっても、メジャートーナメントがCMの中断なしに見られるのだから、事情はともあれ当初は大喜び。しかし、その喜びもつかの間で、今やこれからどうなるのかと心配で、天国から地獄に落とされたような状況なのだ。どういうことかというと、もともとこの問題は、オーガスタナショナルの女性差別(?)に端を発しているのだ。全英オープンの直前に本誌でも伝えたが、女性は入会できないという規約があるわけではないが、現状では女性メンバーのいないオーガスタナショナルに、ナショナル・カウンシル・オブ・ウイメンズ・オーガニゼーションズ(女性団体全国協議会、以下NCWO)という米国最大の女性団体が噛み付いているのだ。

 NCWOの要求は、来年のマスターズまでに、女性メンバーを入会させろというもので、さもなくばマスターズのスポンサーなどに圧力をかけるというものだった。これに対し、オーガスタのフーティ・ジョンソン会長は、「女性メンバーを入会させる日はいつかやってくるのだろうが、それをいつにするかは、銃剣を突きつけられて決めるものではない」と、NCWOとの話し合いの意思がないことを明言してしまったのだ。

 これを聞いたNCWOは、TVスポンサーをはじめ、関連団体などに圧力をかけ始めていたのだが、これを嫌ったオーガスタがスポンサー3社(シティグループ、コカコーラ、IBM)に対して「マスターズ委員会は、来年の協力を要請しないことにした」(ジョンソン会長)とテレビCM抜きでトーナメントを開催することを発表したのだ。

 もちろん、プライベートクラブというのは、いわば仲間同士の集まりだから、誰をメンバーにしようと、他人が文句をいえる筋の問題ではない。しかし、アメリカの常識では、そのクラブが公共のメディアなどを通じてトーナメントを開催し、お金を儲けようとするのなら、社会のルールを守ってもらわなければならない、つまりは女性差別をしてならないということなのだ。実際、PGAツアーには、黒人や女性メンバーのいないクラブでは、トーナメントを開催しない、といった内規がある。

 逆に、オーガスタ側から考えれば、金儲けさえしなければよいだろうと、今回の発表を行ったわけだが、NCWOの方は、それで納得したわけではない。

「差別を続けるために、オーガスタナショナルが、どれくらいのお金を支払う意思があるのかはわかったが、それでこちらの弾丸がなくなったわけではない。まだまだやることはたくさんある。まず、テレビ局が中継を続けて頑固親父たち(オーガスタ側)の肩を持つというのは我慢ならないし、プレーヤーたちにだって(出場しないように)圧力をかけられる。ナイキとか、大企業がプレーヤーのスポンサーになっているわけでしょう」(M・バークNCWO会長)ということで、NCWOのほうは、女性メンバーの入会がない限り、最終的には「彼(ジョンソン会長)の考え方は古く時代錯誤だから、試合そのものの中止も可能性としては考えられないこともない」(バーク会長)ところまで来ているのだ。

 もっとも、オーガスタがあっさり女性メンバーを入会させて、一件落着なんてことも考えられないことではない。NCWOとの一件が持ち上がる前から、オーガスタは入会させる女性メンバーの人選に入っているといった噂も流れており、逆にNCWOから期限をつき付けられて、意固地になっているようにも考えられるからだ。しかし、テレビ放映のためにスポンサーを蹴って、8億円以上の自腹を切るというのだから、オーガスタが女性を入会させる意思はあっても、来年のマスターズまでは、難しいかもしれない。となれば、どうなることやら……。予断を許さなくなってきた。

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