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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/17号
2002年更新
ファンケルシニアで中村忠夫がプレー中に
イノシシ除けの電線に触れて感電する珍事
 ビリビリビリ! イノシシ除けに引っかかったぞ~! プロゴルファーが……。前代未聞の事件がファンケルシニアクラシック(静岡・裾野CC)で起きていた。“ひっかかった”のは中村忠夫。「死ぬかと思った」と振り返る感電事件の真相を追った。

 雨がそぼ降る初日、1アンダーで迎えた中村の5番ホールのティショットは、左のOBゾーンめがけて飛んでいった。頭を掻き掻き、落下地点へ向かうと、約30センチでギリギリながらセーフ。ホッとしたのも束の間、中村には恐怖の体験が待っていた。

 直接、グリーンは狙えない。「3打目でグリーンに届く方向に打とう」と思って素振り。電線のようなものが邪魔だったが「試合中だし、深く考えていなかった。境界の線かな、くらいの感じ」(中村)と、当たらないと思ってセカンドショットのアドレスに入った。

 ところが、バックスウィングで体をねじった瞬間、中村の体を電流が貫き、スウィングを途中で止めた。

「右のお尻の下あたりに線が触れてビリビリッと来た。ビックリした。何事が起こったのかと思った」と恐怖覚めやらぬ様子で中村はその瞬間を振り返る。「素振りのときよりも、実際に打つときは力が入って体もよけい回るからね。それにしてもあのままトップで電線にもう少し長い時間接触してたら、感電死したかと思うくらいビリビリ来たよ」

 結局、「怖くて自分のスウィングができなかった」と中村は“衝撃”から立ち直れず、仕切り直した第2打は目の前にもあったこの電線に当たってOBに。このホールでトリプルボギーを叩いてしまった。

 それにしてもイノシシ除けとはいえ、そんなに強い電流が流れていては危険なはず。実際のところはどうなのか?

「そんな事件があったのは知りませんでした」と前置きしながら、同コースグリーンキーパーの清水博氏が語るところによると、大した電流ではないという。一定の間隔でポーン、ポーンと弱い電流が流れているだけ。

「イノシシが驚けばいいだけですから、傷つけるほどじゃない。ただ、イノシシは夜行性なので以前は夜だけ電流を流していたのですが、最近は昼間も動いているようなのでつねに流しています。キャディにはよく言ってあるのですが、セルフのときなどに触ってしまうお客さんもいるようです」とのこと。

 それでも大事に至るような代物ではないそうで、ここではイノシシ以外にも、タヌキ、キツネ、シカなど様々な野生動物が棲んでおり、放っておくとコースを荒らされるため、周囲をグルリと電線が取り囲んでいる。

 中村の場合、電線だとはまったく思ってもいない状態で触ったために精神的衝撃も大きく「死ぬかと思った」というほどの恐怖につながったようだ。実際、衝撃に対して、負傷の程度はといえば「跡? そんなのは残っていない」というから大したことはなさそうだ。

 それにしても、同伴競技者はもとより、後続組の中山徹らにまで「何やってるんだ?」と怪しまれ、説明したら大笑いされてしまったという。

「普通は昼間(電源を)切ってあるもんだけど、忠夫さんだから切らなかったんじゃないのー」とか、「そんなのに引っかかるのアイツしかいねーよ」とプロ仲間にからかわれ、本人も「私、イノシシ年ですからね。イノシシ除けに自分がかけられてる感じ」とオチまでつけてくれたが、まさに踏んだり蹴ったりだった。

「プロはいろんなコースに行くからいい勉強になったんじゃないですか……、こんなこと言っちゃ怒られるかな」と苦笑しながら話してくれたのは前出の清水キーパーだ。

 山に近いゴルフ場などでは、こういった電線がしかけてある所は案外多いようで、プロよりはるかに“かかりやすい”我々アマチュアは、中村のように仰天しないためにも注意しておいたほうがよさそうだ。

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