週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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これまではジャンボ軍団のように集団・キャンプ式オフトレが目立っていたが、最近はオフの間からコーチに付き、年間の体とスウィング作りを始めるプロが増えている。こういった方式をいち早く採用したのは片山晋呉、そのコーチはプロゴルファーの江連忠である。2人が掲げる今年のテーマは「ダイナミック＆ナチュラル・インスティンクト（本能）」で、これまで安定感ばかりが際だっていた片山のゴルフに、もっと迫力と本能に任せる部分を出していこうというもの。

「そういった技術的なビッグチェンジを通じて、本当の意味で世界レベルのスウィングに引き上げていく」と江連コーチ。1月23日から、片山の地元、茨城の下館でバットスウィングなど体造り中心のトレーニングで開始、2月8日より沖縄で実戦を念頭においた合宿に入る。

選手としては中嶋常幸の弟子でありながら、師匠のコーチであるという不思議な関係で、昨年話題となった石渡俊彦はプロゴルファーであり整体師で、現在は競輪、野球など他のプロスポーツ選手のトレーニングもみている。

「昨年の中嶋プロの課題は下半身のウェート配分、移動、使い方が中心で、ショットに関してはかなりの成果は出せた。今年はさらにスウィングの動きの中で無駄な動きを削っていくのが課題」と石渡コーチ。オフトレは（1）柔軟性、（2）筋力アップ、（3）筋トレした部分を実際のスウィングに合わせていくという段階を踏んでいく。1月半ばから開始したトレーニングは、2日間かかり切りで体の動きを見てメニューを作成し中嶋に渡し、1～2週間後にチェックして再度メニューを作り直す。

「毎日見るより少し間を空けて見ることで体の変化がよく分かる」（石渡）と、体とスウィングを関連付けて見る石渡コーチ独自のやり方を強調する。

去年、コーチを始めて半年後に丸山茂樹が米ツアー初優勝を果たし、その力量に注目が集まった内藤雄士コーチ。丸山とのコンビにオフはなく、昨年12月は日本でビデオでスウィングチェック、暮れの27日に渡米しメルセデス選手権、ソニーオープンの米ツアー2連戦に臨んだ。現時点での丸山の課題は「昨年からの引き続き、合わせず振り抜けるスウィングが今年もテーマ。さらに今年は飛距離の一段アップを目指し入射角のチェックなどを行う。ショットに関しては仕上がりは順調で、後はパッティング次第」と内藤コーチ。ツアー選手では他に小達敏昭と平塚哲二を見ているが、小達は1月20日以降から球打ちを中心にビデオでフォーム作り、平塚は2月に入ってからトレーニング開始で、今年はループを少なくしてコンパクトなスウィングを目指すという。他に、昨年のチャレンジツアーで裏シードを得た矢野東や女子では服部道子、原田香里のコーチをしている。内藤の場合、「ゴルフは個人スポーツだし、ひとりひとりじっくり見たい」という理由で、オフトレは基本的に個別に行っている。

我が国のプロコーチのパイオニアとも言える井上透コーチは、今年は男子は佐藤信人、米山剛、日下部光隆、福澤義光、兼本貴司、女子は片野志保、山崎千佳代などのコーチを行う。こちらは、内藤氏とは正反対で、まとまってオフトレを行っている。ツアーでも、練習ラウンドでは同組で回ることの多い“チーム井上”だが「一同に集まってやる意義や理由は、選手間に差をつけたくない、合宿形式で競争意識が芽生える相乗効果、時間を有効利用でき密度の濃い練習ができるというのが理由です」と井上。オフトレの課題は、井上コーチが最も大事にしている「オンプレーンスウィング」ができているかのチェックが中心だが、今年新たにゴルフに必要な筋力などをつけるフィジカルトレーニングを取り入れている。「ブレーンとして加わってくれたフィジカル面の専門家に協力してもらい、合宿で行うことになった」（井上）。

福沢義光の初優勝はあったが、一昨年の実績と比べるとの実績からすると昨年は優勝者が少なかった“チーム井上”だが、今年は「楽しみに見ていて下さい」と自信ありげだ。

さて今季はいずれのプロとコーチのコンビが活躍するか？ 開幕が楽しみである。