ゴルフダイジェスト出版案内> BACK9
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/12号
2002年更新
昨年暮れに発表したヘッド体積の上限を
突如470cm3まで譲歩したUSGAの誤算
 米国ゴルフ協会(USGA)の目論見は、またもや外れた? 実は、2月19日に迫ったクラブヘッドサイズの規制に対するヒアリング期間終了を前に、それまで提案していた385cm3の上限を大幅に修正、突如470cm3を超えるものを違法にすると提案し直したUSGA。これでメーカー側の反発も落ち着くかと思われたのだが……。

 この変更については、当初、USGAがメーカー側の反発を甘く見ていたようで、「当初の385cm3という提案は、業界や市場に甚だしい影響を与えるということが、PGAショーを前にして明らかになった」とUSGAのD・ラッジ・シニアテクニカルディレクターが語るように、メーカーサイドから猛反発を食らったのだ。

 ある意味では、当初の提案が、クリスマス休暇直前に行われたことから、PGAショーを控えたメーカー各社には、反論したくても時間的な余裕がないとも見られていた。しかし、蓋を開けてみると、たとえば410cm3のドライバーを造ったゼボ社などは「この提案が通れば、ここ1年間やってきたことが無駄になる」(M・ホッフィー社長)ということで1月7日に、USGAに裁判も辞さない考えであることを文書で通達しているのだ。そして、こうした裁判を恐れたのか、USGAは、1月10日に385cm3という提案を修正して460cm3プラス10cm3の許容誤差まではOKという修正提案を出したというわけ。

 USGAが470cm3で線を引いたのは、一応これを超えるサイズでは、スプリング効果テストなどで、認定クラブをまだ出していないため。それと大手メーカーのビッグへッドクラブは、皆470cm3以内に収まっているためと推測されている。

 しかし、小さなメーカーの中には、500cm3という超ビッグヘッドのドライバーをすでに販売しているところもあり、今回の提案に怒りを隠さない。

「3カ月以上も前からUSGAにクラブを提出しているのに、大手メーカーのクラブがよくて、私たちの500cm3のドライバーが違法だなんて、フェアじゃない。貯金をすべて投資してこのクラブを造ったのに」(ベリーゴルフのオーナー、J・マーレイ氏)といった声が聞こえてくるのだ。

 そして、そうした風潮に乗って、大手メーカーもUSGA批判を始めているのだ。これまで口を閉ざしていたキャロウェイも「伝統や慣習に反するというのは、個人的な判断で、線引きをする正当な理由など何もない。線引きの基準をサポートするデータも何もない上に、提案をして22日経って修正するなんてもともと安易な発想としか思えない」(R・ドラポー会長)と批判すれば、テーラーメイドにいたっては、「USGAが、ヘッドのサイズを規制すべきなのかどうか疑問だ」(プロダクトマーケティング・シニアディレクターのJ・ヒューフリック)と、線引き以前のこの規制そのものに対する批判まで出ているのだ。

 もちろんオリマーのように、USGAを全面的に支持するメーカーもないではないが、提案を修正したことによってUSGAの弱さを披露、かえってつけ込むスキを与えてしまったともいえるのだ。

 ある意味では、今もっとも、USGAが、協力を欲しているのがR&Aということになるのだろうが、こちらの方は沈黙を守ったまま。皮肉なのは、キャロウェイのクラブデザイナーで、ERC、ERCIIを開発したR・ヘルムステッター氏をこの時期に、R&Aの新メンバーとして迎えたことだ。USGAが違法とするクラブのデザイナーをメンバーにするというのは、USGAにとっては、R&Aが完璧に袂を分かったと暗に語っているともとれるのだ。ひょっとしてUSGAが急に弱気になったのも、この辺に原因があるのかも……。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト
ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です