イングランドゴルフ協会では、メンバーコースを持たないゴルファーにHCを与えるかどうか昨年から議論が沸騰していたが、今年は決定が棚上げされることになった。
この計画を推進していた同協会のCEOが職を辞したうえ、多くのゴルフクラブから「HCを取得して、競技に参加したり、自分の腕前を確認できることがゴルフクラブのメンバーになる重要な要素の一つだ」(ある地区ゴルフ協会のトップ) といった声が上がったからだ。
誰もがHCが取得できるなら「自分はメンバーをやめる」と主張する人が現れるのではないかというのがクラブ側の主張だ。今年の決定棚上げは、コロナの影響もあって議論が進まないという理由もあるのだが、来年再開される議論でも、やはりクラブのメンバーでないゴルファーがHCを取得できるようにはなりそうもないようだ。
ワールドハンディキャップシステムができて、今では海外に行っても競技に参加できるし、日本では誰でもHCを取得できる。しかし、かつてはイングランドのようにゴルフクラブに所属していないとHCを取得できなかった。各地区や各国のゴルフ協会は、ゴルフクラブが集まって作られ、ゴルフ協会が作るコースレートをもとに各クラブがHCを与え、クラブ競技やクラブ間の競技でHCを利用していたからだ。それがアメリカで、ゴルフの普及のためスロープレートシステムができ、誰でもHCを取得できるようになった。
ちなみに、約30年前に、アメリカのメンバークラブの数とリゾートを含めたパブリックコースとの割合が逆転したことも影響しているのかもしれない。
前頁で紹介したように、イギリスでゴルフブーム定着の流れがあり、新規ゴルファー増も見込めるのだが、ことはすべて一枚岩では進まぬようで……。
一覧へ戻る
|