3Mオープンでマイケル・トンプソン(35)が7年ぶりの優勝を飾った。劇的な勝利の裏には養子縁組したばかりの娘、ローレルちゃんの存在があった。
コロナの影響で2月のプレーヤーズ選手権がキャンセルされ、松山英樹の初日「63」は幻となったが、その際、トンプソンも悔しい思いをしたひとり。7位タイの好発進でここからというときツアーは中断された。
「世界で前例のないことが起きている。スコアが取り消されても不満はありませんでした」と、トンプソンが言うのは、自粛期間中にあった大きな出来事に関係する。
その時期、妻レイチェルさんと3歳の息子、ジョシュア君とともに彼が出向いたのはカンザス州。移動制限があるため車で17時間以上かけ、ローレルちゃんの実母のもとに向かい、出産に立ち会うと「へその緒を切らせてもらった」。じつは長男も養子。手続きが煩雑で苦労が多かったというが「血はつながっていなくても抱きしめた瞬間、愛情が湧いてくる」と、新しい家族との出会いに心を揺さぶられ「ものごとを謙虚に受け止められるようになったし、ツアーの中断すら良いことに思えました。ゴルフが以前ほど重要ではなくなった」
すると娘の存在が力になったのか再開後5試合目で持ち味の正確なショットを武器にチャンスを量産し、4日間でボギーがわずか3つという安定した内容で2720日ぶりに勝利の美酒に酔いしれた。
初優勝はデビュー2年目の13年。右も左もわからないうちのビギナーズラックだったが今回はすべての状況を把握した上での価値ある1勝。フェデックスカップのポイントランクも151位から39位に浮上し、全米プロや全米オープンの出場権も手中に収めた。
「こんな小説みたいな話、あります? ああ、家族に会いたい。ここに一緒にいられないことだけが残念」と涙ながらに喜びを語ったトンプソン。 「手強い相手だってことを同僚に証明できてよかった」。来るべきメジャーシーズン、トンプソンにご用心!
一覧へ戻る
|