1週間に二度も乗用カート事故が起きたゴルフ場を実地検分
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/21号
2010/9/13更新

なぜ? 1週間に二度も
乗用カート事故が起きたゴルフ場を実地検分




 ライオンズCCで8月19日と23日に乗用カート事故が起きた。19日は運転していたゴルファーが亡くなるという大事故だった。1週間に2度も同一ゴルフ場で起きた事故を週刊ゴルフダイジェスト誌記者が実地検分した。

 ライオンズCC(兵庫県三木市)はPGMグループに属する。PGM広報部のトンプソン智子部長は、
「事故が起きやすい起伏が多いコースだと思うでしょうが、グループを代表するコースのひとつでフラットで雄大です」と言う。

 そのコースでどうして事故が起きたか。まず19日の死亡事故の状況はこうだった。

 ホワイトコースの2番パー3ホールでティショットを打ち終えた男性2人がカートに乗ってグリーンに向かったところ、下り坂で坂の下で右に曲がるS字カーブ(最大勾配11度)で、坂の下のカーブを曲がり切れずにカート道から飛び出て左ノリ面を突っ切り、先にあった木に当たって運転席が大破。そのなかに挟まれたプレーヤー(65歳)が外傷性脳幹損傷で死亡したもの。

「後続の組にお医者さんがいて、診ていただきましたが、すでに意識も脈もない状態でした。もう1人の方は後部座席に乗っておられ、軽い怪我で済みました」(トンプソン智子部長)

 事故原因は警察がカートの故障等を含めて調査中だが、現時点ではカートに問題はなく、現場にはブレーキ跡がなく、ノーブレーキで坂を下ったことを同乗者も証言してるとのこと。現場に折れたサンドウェッジがあったことから、クラブを持ったまま運転し、そのクラブが間に挟まったためブレーキを踏み込めなかった可能性もある。

 記者が検分したが、2番ティグランド横の停止場所から飛び出したところまで約30メートルの下りの急坂。ノーブレーキでは怖くて運転できない。カート停止場所の目の前には事故前からある“徐行 急なS字下り坂!!”の看板があった。

 23日の事故はホワイトコースの7番から8番に向かうカート道で。女性3人がホールアウト後、8番ティグラウンドに向かう、左に曲がって上り坂(勾配5度)になる急カーブを曲がり切れずに右ノリ面にカートを乗り上げ、その後、アクセルを踏み込んだことで、勢いがついて左のカート道を越えてノリ面まで暴走して横転した。

 幸い運転してた女性(69歳)がひざに擦り傷を負っただけだった。確かに急なヘアピンカーブだが、視界を遮るものは何もなく、検分した限りでは単純な操作ミスを想定させる。




 今回の2人は免許証保持者だった。同CCではフロントでカート利用者は運転免許証保持者に限る等を記載した利用約款を見てからサイン。さらに、スタート前には事故に関して注意を喚起する利用誓約書にプレーヤー全員がサインするシステムだ。

 今回の2つの事故は自己責任の可能性が大。ただし、ゴルフ場関係の法律問題に詳しい宅島康二弁護士は、
「カート事故は運転者のミスによるものがほとんどですが、そのミスを想定して、危ないカーブには転落防止の柵をつくる等の安全対策を講じる義務がコース側にあると思います。注意を促す看板を立ててあっても、誓約書にサインさせたとしても、責任は免れないでしょう」という。

 乗用カートの運転では、スピードは出さない、クラブを持って運転しない、カートが動いている時はスコアカードはつけないといった安全重視の姿勢が不可欠。そしてコース側の安全対策にも今回の事故は警鐘を鳴らしているようだ。

 
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