> 雑誌・出版情報 > BACK 9 WEB
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/2号
2009/5/22更新
米男子ツアーで開幕戦の
スポンサーになった韓国企業の打算と本音

 100年に一度の経済危機のあおりで米男子ツアー開幕戦のスポンサー、メルセデスベンツが来季からタイトルスポンサーの座から降りたのも衝撃的だったが、その後釜に韓国メディアのSBSテレビが10年間の契約を結んだことも憶測を呼んでいる。実はこの交代劇の背後には同じ韓国ライバル会社との確執があった。


SBS選手権と名称変更されるメルセデスベンツ選手権。ファンの反応は?

 もともとSBSは米女子ツアー(LPGA)開幕戦SBSオープンの冠スポンサーを務めてきた。それが、来季からJゴルフチャンネルにLPGAの国内放映権を奪われたことでSBSとLPGAとの間の感情的な縺れや韓国メディ同士の葛藤があった。

 韓国のゴルフニュースエージェンシー、JNAのチェ・ミンソク記者が次のように説明する。

「過去7年間もLPGAの国内放映権を独占していたSBSテレビがLPGAに嫌気をさしてPGA(米男子ツアー)の新たなスポンサーになったのには理由があるんです。今年2月、同社がタイトルスポンサーの米女子ツアー開幕戦SBSオープンの開幕期間中というタイミングを狙って、LPGA事務局がJゴルフチャンネルと来年からの国内放映権に関する契約を電撃的に発表した。これにSBSが激怒して感情問題に発展したことが原因です。もとより、東洋の礼儀を重んじる韓国のSBS経営陣はキャロラインLPGA会長がアジア選手、特に韓国人選手を快く思っていないことに反発していました。昨年夏、韓国人選手をターゲットにした『外国人選手への英会話テスト』を義務化すると発表した時には我慢していましたが、マスコミや世論の反発で2週間後に撤回された時には拍手喝采していましたよ。このようにキャロライン会長傘下のLPGAが韓国人選手に対してとってきた方針などで両者の関係が悪化してきたのです」

 現在のPGAツアー副会長はかつてLPGA会長を務めた人物で、SBS社幹部とも以前から個人的にも親しい間柄でもあることから、SBSテレビはJゴルフとの対抗上、LPGAよりもPGAツアー重視の方針を打ちだしたという見方もある。

 しかしスポンサーの多くが自動車産業や金融業界、通信業界、旅行観光業界といったなかで韓国のメデイア産業が初めて参入して採算に自信があるのだろうか。

 PGAツアーのコミッショナー、テイム・フィンチェム氏は「これまでスポンサーとして頼ってきた伝統的産業から幅広い産業に拡がっていくことは意味深いことだ」とコメントしているが、本音は財政危機を救うにはアジアでもどこでも構わないといったところではないか。

 来年の開幕戦も無事に決まったコースのハワイ・カパルアリゾートサイドは「今後も長期にわたってSBSとPGAとビジネスを続行することに興奮している。メルセデスに関しては残念だが、今後もオフィシャルカーなどの協力を期待しています」(カパルアリゾート副社長・P・ゲーリー氏)とコメントしている。

 リゾート側では、最近の新型インフルエンザの影響で世界規模で観光客が激減していることも気になり、今後のゴルフイベントも順風満帆とはいかない。

「こうした危機的な環境のなかで今後10年間のタイトルスポンサーとして決断したのは国家の威信をかけた国家的プロジェクトであるからにほかなりません。韓国政府が相当資金援助を約束したとみるべきです」(韓国日刊スポーツ紙・チョンビョンチョル記者)。

 いずれにしろ、昨年9月のリーマン・ショック以降、スポンサーが減っているなかで、初めて新スポンサーが生まれたことにPGAツアーサイドは一安心といったところか。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト

ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です