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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 7/22号
2008/7/10更新
サミットにらみCO2排出権を買ったリゾートなど
ゴルフ場のエコ対策

 京都議定書議長国の威信がかかる洞爺湖サミット。会場のおひざ元で72ホールのコースを持つルスツリゾートが、一企業としてはまだまだ珍しい、CO2排出権を購入した。ゴルフ場経営会社のエコ意識を追った。


イメージアップにはまさに ベストタイミングだったルスツリゾート

 すっかり投資対象としての地位を確立した“排出権”は、基本的には機関投資家間で巨大な単位で取引されており、削減目標達成期限である2012年時点での保有者が、国に無償で寄付することで最終的に完結する。

 一方、一般事業会社単位では排出するCO2の量は数千トンからせいぜい数万トン程度なので、小口の需要向けに三菱UFJ信託銀行が昨年12月に信託制度を利用して売り出したものをルスツリゾートが購入した。

 購入価格は1800万円で、取得した5000トンは、むこう5年間で同リゾートがホテルやレジャー施設などから排出する量の6パーセント強にあたる。

「地球温暖化対策法により、大規模事業者などにCO2排出量を業者に依頼するなどして算定し、国に報告する義務がある。法的な削減義務まではないが、自主的に排出権を購入している企業や団体は増えつつあり、Jリーグの清水エスパルスなども購入している。工場を持たず、オフィスやホテルしか持っていない企業なら、電力使用量に一定の係数をかければCO2排出量を自社で計算できる」(『排出権取引とはなにか』などの著書がある北村慶氏)。

 この半年ほどで同信託の小口排出権を購入した会社数は30社前後。金利の一部を排出権取得に回すエコ預金、溜まったポイントを排出権と交換出来るクレジットカードといった、“カーボンオフセット商品”を売り出すためや、もしくは環境問題に熱心な企業であるというアピールをするのが目的の会社も多い。

 ルスツリゾートは今回のサミットに訪れる各国の報道陣が使うプレスセンター会場にもなっているだけに、「今回の排出権取得はイメージアップを図れるし、タイミングとしてもベスト」(排出権取引に詳しい大手商社現役幹部)。

 サミット会場のウィンザーホテル洞爺湖では排出権は購入してはいないが、6パーセントの省エネは掲げている。CO2排出量削減を本気で実現しようと思うなら、何といっても一人ひとりが排出量を削減する努力をすることこそ正攻法であることは間違いない。

 エコ対策ではルスツのほかにも、八王子CCでは14~15年前からコースのゴミの減量に取り組み、7年前のクラブハウス建て替えの際には蓄熱式のエアコンを導入するなど、使用エネルギーのハイブリッド化を実施している。

 樹木や芝生の手入れが行き届いたゴルフ場の温暖化防止効果については既に本誌でも取り上げたが、「ゴルフ場が温暖化防止に貢献できるのはそこでプレーするゴルファーがいてこそなのだから、さらにゴルファー自身が意識を一歩進めるべき。

 クラブハウス内の冷暖房温度もゴルファー側の理解度が高まれば変えることができる。JGAなどの団体が意識改革面でのリーダーシップを取ってくれれば効果的だと思う」(同CCの大石順一総支配人)という。

 千里の道も一歩から。できることから一歩を踏み出そう。

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